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第6話
翌日は休みだった。純と優吾はファミレスで愛斗と向かい合って食事をしていた。
「おめでとー二人とも!」
愛斗が嬉しそうに祝福してくれた。
なんやかんやで愛斗は二人のキューピットであることに間違いはない。
愛斗のぶっ飛んだ発想のおかげで二人は相思相愛、無事に付き合うことができたのだ。
「でもまさか、信じちゃうなんてねー。笑いを堪えるの必死だったよ」
「うるさいなー、飲ませた直後からあんな過剰な反応されたら誰だって信じるだろ!」
プリントを配るとき、少し指が触れただけで反応されたり顔を直視してこなかったりされたのだ、信じない方が無理だ。
「あれは、……素だ」
「え?」
純は恥ずかしそうに頬を赤らめた。
「普段は気を付けているんだが、作戦実行のドキドキと、お前に対するドキドキで、つい……冷静さを欠いていた」
「普段、から?」
一体いつから純は優吾のことが好きだったのだろう。
そんなこと、全く気付かなかった。普段クールだから余計にだ。
「どうした?純」
「…オレ、今お前に殺されかけた……」
あのクールが売りの純が冷静さを欠くほどに好いてくれているだなんて、嬉しすぎておかしくなりそうだ。
「オレも、昨日はお前が、……可愛くて」
純が呟くと、愛斗は「ああ、」と笑った。
「確かにユウちゃんは可愛い系だよねー」
愛斗には言われたくない、と心の中で突っ込みたくなった。
周りからも可愛いとか童顔とかは散々言われ、その度に反論するのだが、不思議と純から言われるとなんだか照れくさい。
よく分からないけれど。
「ユウ、これから、よろしくな」
「オレの方こそ、よろしく、純」
そう言うと、純は嬉しそうに微笑んだ。
このイケメンの笑顔に卒倒しそうになってしまうのをぐっと堪え、ちょん、と指に触れた。
それだけで純は照れているので本当に可愛いと思う。
「ちょっとー、いちゃつくなら帰ってからにしてよねー」
「いちゃついてないっ!」
この先もきっとこんな感じで続いていくのだろう。
そう思うと、幸せだな、と思った。
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