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第1話
「また大量のお菓子を」
持ちきれないほどの、女子からのプレゼントと思わしきお菓子の袋を手にした大雅に、片眉を上げ呆れたように呟けば「いい加減何処かで区切らないと刺されるぞ」とため息を漏らす。
「大丈夫だもーん、ボク“イイコ”だし?これはご褒美だよ」
そう悪びれなく言う幼馴染。
彼は自分の見た目と、その使い方を良く知っている。心配はしているが、そんな失態を犯さないことなど、祐太郎が一番よく知っているのだ。
「あーあ、偶にはこんな良い子のボクに祐太郎も、何かくれたら良いのになぁ」
「本当に良い子には飴玉ぐらいはくれてやるさ」
「えー、ボク結構今日は大人しくしてたよ?遠野兄弟にもちょっかいかけなかったし」
そうボヤく大雅に、まぁ確かにと頷く「司先輩は本当に鈍いのかわざとなのか、分からないよな」と腕を組むと、大雅がお菓子をおいて、ジッと此方を見つめていた。
遠野兄弟とは、俺らの共通の友人で、明らかに弟の方が兄に兄弟以上の想いを抱いているのがありありと見て取れるののだが、兄の方は気付いているのかいないのか、全く相手にしていない。
そんな2人を時々大雅はちょっかいをかけて遊んでいる様なのだ。
「ねぇ、祐太郎の方は、さ。ボクの気持ちに気がついているんでしょ?いい加減付き合ってよ」
「嫌だ」
「なんで?」
「だってお前、俺の事…抱きたいだろ?」
そう問われ、少しキョトンとした顔をして瞬きを一つ。
そしてゆっくり口角を上げて、小さな体をズイ、と祐太郎に押し付けた。
顔を寄せてみる、吐息がかかる距離までもう少し…。
ーそして。
「そうだよ」
そう告げる少年の眼は、少しでも隙を見せると食ってしまうぞ、と言わんばかりにギラギラとしている。
まるで野生の獣と同じ目だな、と祐太郎は感じたが、逸さずにしっかりと見つめ返す。
そんな姿を面白そうに目を細めて、大雅はゆっくりと祐太郎に唇を重ねた。
本人に抵抗するそぶりはない。
唇に優しく舌を這わせ、わざとらしく水音を立てる。
相手が動かないのを良い事に、舌を割り込ませ祐太郎の生暖かいソレを捕まえて蹂躙する。
ねっとりと絡ませ擦り合わせては、一方的に唾液を混ぜ合わせながら口内を犯した。
はっ、と少し唇を浮かせた大雅が
「なら、ボクが抱かれたいなら付き合ってくれるの?」
と聞き返せば
「いいや?そもそもお前は俺に抱かれる気なんて全く無いだろ」
と、あっさり返されて「まぁそうなんだけど」と手を胸元を撫でるように、祐太郎のシャツに潜り込ませた瞬間。
「調子に乗るな」
ポカリ。と頭を叩かれた。
「酷い、あんなキスまで許しておいて」
祐太郎には効かないのだが、ムッと頬を膨らませ怒りを顔に出す。
「勝手にしてきたんだろ、知るか。それに」
「それに?」
「言ったろ、良い子には飴ちゃんぐらいはくれてやるって」
そう言って珍しくニヤリと笑うと、襟を掴まれ今度は祐太郎からキスをされた。
「んぐっ」
甘い。
いちご飴を放り込まれたのだ。いつの間に準備したのやら。時々こう仕掛けてくるのだから、ズルイ。
「~~~あーもっ!!本当にいい加減付き合ってよ!」
「嫌だ」
こうして、今日も最終的にどちらが上手なのかわからないまま、終わるのだった。
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