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第2話
「抱かせてよ」
「断る」
そんなやりとりを始めて何年になったのだろうか。
自分よりだいぶ背の低い幼なじみの大雅にピシャリと言い放つ。
嫌いではない、が恋愛で言うと好きでもない。そもそも童顔で高校3年には見えない160あるかないかの男に言い寄られて、しかもそれが「抱かせろ」なんてむしろ友情を壊さず軽く流し続けている自分に感謝してほしいと祐太郎は思っている。
因みに祐太郎の身長は180はある。
「と言うか前々から聞いてみたかったんだが」
「なになに?とうとう身体開く気になった?」
「ならん。そもそもこんな巨体のどこに興奮するんだ、俺がお前に対してなら…ワンチャン…無いな」
「こんな愛くるしいボクにワンチャンとか失礼な、しかも無いんかーい!ボクの顔なら十分男もおっ勃つでしょ」
「その顔で発言が本当残念だよなぁ…じゃなくて」
「あーはいはい、勃つからこうして毎日口説いてんじゃん馬鹿だなぁ」
「だから何処に勃つ要素があるんだ」
自慢じゃないが大雅はふんわりした天然のパーマが似合うっかわいい系の顔だ。
犬に例えるならポメラニアン。
祐太郎の方はと言うとスポーツをしているのでがたいは良いし短く刈られた髪は柔らかそうなイメージは無い、柴犬っぽい少しごわごわした感じである。
「そもそも恋愛なんて言葉に出来ないもんじゃ無いの。ボクは祐太郎が好きだしあわよくば押し倒してサッサとぶち込っんん」
こめかみにシワを寄せ祐太郎が大雅の口を塞ぐ。
「毎回とは言えこう堂々と宣言されると想像するから適度にしてくれ」
「ぷはっ…いーじゃん。そうしてるうちに慣れて来るって、だからさっさとボクに抱かれちゃいなって。そして付き合おう」
「体の関係求められてからの告白、俺じゃなきゃ絶交だぞ」
「祐太郎だからこそじゃない!」
他の奴なら言わないしーと笑顔だ。眩しい。
「付き合わないからな」
「ボクが抱かれる側なら考え変わる?」
これも毎回同じパターンのやりとりで
「そんな気ないだろ」
「当たりでーす」
そんな感じで今日もわちゃわちゃ攻防戦は続いている。
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