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第28話

 この辺りは飲食店……というより主にお酒を出すお店がメインだった。そして――お父様に連れられて銀座とかにも行ったことが有るけれどあっちは綺麗なお姉さんとかしっとりした和服が綺麗な少し年配の女性が――でも物凄く綺麗にお化粧なんかしていて映画の中の栞お姉さまの方がもっと綺麗だったのは事実だけれど、お姉さんのようなツンと澄まして孤高の存在だ!という感じは全くせずに、何だかどんな話でも聞いてくれそうな感じの女性が多かった――メインだった。  でもこの街はユリさんみたいな人が働く場所だったので、なんというか少し殺風景な感じもしたし、ビールの空き瓶がずらりと並んだケースなんかが無秩序な感じで奥に積み上げられている。  そんな場所でもリョウさんと二人きりになれたのだからとっても嬉しい。  お父さまと来たのと――と言っても路地裏なんて場所には絶対に入らなかったけど――やっぱり全然違うなって思えてしまうのはきっとリョウさんのお蔭なのだろう。  適当に突っ込んだとしか思えない乱雑なビールの瓶がむやみやたらに乱立しているという景色もリョウさんと一緒だと何だか天国のお花畑に居るような気がする。  そしてリョウさんの悪戯な指はお尻の穴をクパってゆう感じに開いてきた。  そんなコトされたらさっきまで入っていたリョウさんの熱いモノが零れてしまう。  ただ、その粘度の有る熱い液体が素肌を這う感じも溜まらなくイイって既に僕の素肌は学習済みで、その快楽を散らそうと必死に頭で集団心理について考えた。  まあ、リョウさんの言い方からするとオークション形式でお金が動くんだったら、大金をビッドしたら後には引けない雰囲気がある。僕は行ったことがないんだけれど映画で観たことがあるサザビーの絵画とか歴史的・美術的な価値の高いオークションだって最初の方は冷やかし半分のお客さんがいるっぽいけど、だんだん金額が上がっていくと、周りの雰囲気にも押されて後には引けなくなってしまう――という映画だった。  それに、僕のショーの場合、お父様の組の人だけじゃなくて「そっち側」のお偉いさんが来ていて、当然その人たちは顔見知り以上の関係なのでライバル意識をもともと持っている。だから一回入札、英語ではビッドなんだけどそういうのをしてしまうと尚更後には引けなくなる。  見栄と面子が何よりの美徳というのがお父様の世界らしい。  もう僕には関係なくなってしまったけれども、知識としては知っていた。  まあ、お父様は僕と一緒の時はボディガードのために若い衆を連れていた。  でも、こういうトコで男を買う人は単に一緒に歩くデート――今シンデレラみたいにリョウさんと一緒にいるのは多分だけどデートだろう、少なくとも僕はそう思ってとても幸せな気分になる。でもそれだけでなくて鉄砲除けとして――それでなくとも物騒な人間がたくさんいるのが「あの」世界だ――弾を代わりに身に打ち込まれても良い人間を同行させるという暗黙の了解がある。女の人が好きな人はホステスさんとかゲイバーで男を漁りに来る人はユリさんみたいな人をデート兼弾除けっていう事実を知っているのだろうか?  リョウさんと一緒に買い物を済ませて歩いているのは――過剰過ぎるかもだけど――悪戯な手が色々なところ、いや正確にゆうと僕の感じる場所だ。そういうトコを触って来ているだけで身の安全を図るための目的は皆無だったのも天国に来たような心地よさだった。尤もリョウさんに拳銃を向けるような人間なんていないだろうけれど。  それは置いておいて誰かが高値を付けたら稼業上の面子とかも気にしてそれを上回るお金を現金で積むだろうことは容易に分かった。  そういう意味でリョウさんは群集心理というか独特の熱を上手く利用しろってゆってくれたのだろう。  僕だって――今までは必要なモノが当たり前のように、しかも無料で部屋とかお母さまの居るエリアの台所にある冷蔵庫に入っていてお金を使うことなんてなかった――リョウさんとの胸が躍るようなショッピングで何をするにもお金が必要だと分かってしまった。  それにあの屋敷を出て――じゃないとこんなショーに何時、出演を強いられるか分からない。相手役がリョウさんだったら大歓迎なんだけど、毎回リョウさんが来てくれるわけがないことくらい僕にだって分かる。それに僕の浅ましい身体があんな反応したのもきっと相手がリョウさんだったからだ――住む部屋とかだって家賃というものが必要なのはドラマを観て知っている。  だからそのお金を稼がないといけないんだな!!って決意を新たにした。  そしたらリョウさんに開かれたお尻の穴から恥ずかしい液体が零れて、太ももを滴っているのがマザマザと分かった。 「ああ……んっ……。だめっ……お尻を開いたら、零れちゃう」  零れちゃうんじゃなくって既に滴っているのは流石に恥ずかしくて声に出来なかった。  それにリョウさんの指はシャツをツンと押し上げていて甘く熱く痺れている乳首を転がしたり上下に動かしてくる。  その感じも堪らなく理性を溶かしていく。  ビクビクと身体が反応してしまう。  その様子をリョウさんは半ば楽しそうに、そして残りの半分は僕の反応を確かめるように見ていて、その眼差しも炎を孕んでいるようで身体の甘い熱がもっと上がっていくような気がした。

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