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第27話
ツキンとした甘い痺れが背筋からお尻の中まで甘く溶かしていくような、そんな感触。
こんなところが――女の人は感じる場所だっていう知識くらいは有ったけど――こんなに敏感になってしまう僕ってやっぱりおかしいのかなって思ってしまう。ただ、なんか僕が女の人の感じるトコロがどうとか言ってしまうとリョウさんの機嫌(?)を損ねるような気がして黙っていようと思ってしまった。
何となくだけど、僕の「何も知らない」トコをリョウさんはプラスの意味で捉えてくれてるような気がしていたのも事実だったし。
まあ、催淫剤のせいでも有るかもしれないけど、こんなに感じるのはリョウさんのせいのようなそんな感じがする。
あの男らしくて長い指が僕の乳首に触れてくれる。それもどこか楽しそうな笑みを精悍な凛々しい顔に浮かべて。そんな悪戯めいた笑み――しかもどこか大人の余裕というか包容力の有りそうな感じだったし――まで浮かべられたらお尻の穴までジンと疼くような気がした。
決してお薬のせいなんかじゃなくて、僕自身の身体が快楽を欲しがっているような……。
お尻の穴がイイってユリさんは力説していた。そんなモンなのかなぁって他人事のように聞いていたけど、今となってはリョウさんが挿っていたトコがジンジンする。
他人事ではなくて、ホントウにそうなんだなぁ。これが男の人に愛されることなんだなって思うと、何だか胸が熱くなる。
でもこれはきっとリョウさんが丁寧に愛してくれたからだろう。
「ああっ……んっ……イイんだけど……。店の中じゃなくてここでするの……」
素朴な疑問がわいてくる。リョウさんの指が乳首を愛してくれるのはとっても嬉しい。嬉しいんだけど、ショーに栞お姉さまに言われて参加してくれただけのリョウさんがお店以外のところで触れて来てくれるのが何だかとっても意外だった。
「あの店の中だと、群集心理って分かるか?」
リョウさんの低い声にピクんと身体が跳ねてしまった。
ダメだ。こんなに感じやすかったら何となくリョウさんに嫌われそうな気がして、慌ててリョウさんの言葉に答えようとした。その方が何だか気が紛れるような気もしたし。
「うん、集団心理とも言うね。その場に居る人達が集まった状況のもとで醸成されるその群衆に特有の心理のことだよね?」
学校にはマトモに行っていないとはいえお父様に「将来のため」といろんなことを学んでいた。人心掌握術のために心理学関係とかも家庭教師の先生に付いて習ってもいたし。
リョウさんが怪訝そうに、そして感心した感じで唇を緩めた。リョウさんの場合、唇を弛めてもカッコよさが変わらないのは、もともとの顔立ちが整っているからだろう。普通だとだらしない感じとか少しエッチな感じになると思うのだけれど。
でも、なんで群集心理が関係あるんだろ?って怪訝な思いを抱いた。
「あの店に戻れば、集団が何を求めているか……分かるだろう?そして主役を無事に務めて大金を獲得するのがユキの望みだろう?だったら……」
そう唇が告げた後にリョウさんは辺りを見回して――といってもこの辺りは男二人が明らかな至近距離で居てもそんなに目立たないというか、当たり前の風景としてスルーされる「特殊」な界隈だった。
ま、僕はともかくリョウさんは誰が見てもキラキラしたイケメンさんだし、そういう意味ではチラチラと熱い視線を送ってくる――そしてリョウさんの場合職業上は女性にそうされると嬉しいだろうけど――男性もちらほら居た。
なんで細い路地に入らないといけないのか全然分からなかったけど、リョウさんに連れて行ってもらえるならどこだって大歓迎だった。
最初の相手がリョウさんでホントに良かったとしみじみと身体に残る熱い疼きに浸ろうとしたら、悪戯な手が伸びて来て、僕のお尻を思いっきり開いてくる。
そんな――他人の目もある道路というトコも恥ずかしさも相俟ってなのかもだけれど――触れ合いすらとっても感じた。
そういう意味では細い路地に二人きりでいる今の方が恥ずかしさはマシ――いや、お尻を開かれたのでどっちもどっちのような気がしたけど――かも知れないかも……って思ってしまう。
そして。
「だったら」の次の言葉を待ってしまう。群集心理は良く分かったけど、そしてあの店に戻ってお金を稼がないことには僕に行くトコなんてない。
それにリョウさんと「本当の」恋人同士のように街を歩いたり――幸いこの辺りでは同性同士がイチャイチャしても全く問題にならないエリアだ――話をしたりするのはとっても楽しくて、まるで12時を過ぎていないシンデレラが王子様と楽しくダンスを踊っているような気分になってしまう。
そして嬉しいことにまだまだ続くリョウさんという王子様が僕の相手を務めてくれるのは本当に嬉しくて心が弾むような気持ちだった。
でも「だったら」の続きもとっても気になった。
お店ではお客さんに気に入ってもらってなるべくたくさんのお金を稼がなくてはならないのが今の僕で、それを手助けしてくれるのが僕の――「一夜限り」の――王子様だったのだから。一夜限りでもこんな素敵な人とこうして二人っきりの路地に入って過ごせる幸せは思ってもいないモノだったけれども。
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