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第26話

 リョウさんの手ほどきが良かったということもあるんだろうけれど、女性みたいにこんなに感じやすくなるってウソみたいだ。  お母さまが家元を招いてのお茶の席とかで居ない時にこっそり観た動画なんかでは胸を弄られて派手な――もしかしたらワザと大きな声なのかもだけ――嬌声を上げている女性をただただびっくりしてたんだけれど、僕の身体もそうなったなんて信じられない。  でも、布地が擦れて甘くツキンツキンと脳まで届いている感触は本物だし……。 「ううん、そうじゃなくて……。何だか乳首が布地に擦れて熱く疼いてしまっていて……」  お尻の穴から零れてるコトを口に出したくなかったし、それに今は乳首の方が気になってしまっているのも事実だったし……。これって僕がヘンなのかな?  そんな漠然とした不安が表情に出てしまったのかリョウさんは男らしく整った顔に爽やかさすら感じる笑みを浮かべてくれた。  お父さまが居る席ではさすがにそんな話はでないけれど、やっぱりお酒が入ると割とエッチな話が混じることもあった。  その時はビローンと伸びた鼻とか独特の笑みを浮かべて「ウチのコレは」みたいに小指を立てることが多い。お父様だってお母さまの他に栞お姉さまのお母様も居るので、それなりに遊んでいるほうだとは思う。けれどもそういう話がそもそも苦手っぽいような気がする。  それに奥に籠って趣味の世界とかに没頭しているお母さまは神戸の実家から和平の象徴として迎え入れているとかで――大人同士は(子供には分からないだろう)とか思っているのだろうけれども自然と耳に入ってくるし、覚えてもいる――それ以外の実務は栞お姉さまのお母さまの方が何かと気配りとか効くし重宝しているとか言っている大人が多かった。  確かにお母さまはお屋敷の奥まったところに居るし、お茶とかお花とかの家元を呼んでそちらの付き合いとか美味しい料理を習ったり作ったりしているだけのような気もする。  僕も基本はお母さまと行動を共にしているので外の空気をそんなに吸っていない。  だからお母さまが箱入りお嬢様からそのまま奥さんになったのと同じような感じで箱入り息子なのだろう、多分。  栞お姉さまは自分の力で芸能界に入って活躍しているのも、お姉さまのお母さんの結構目鼻立ちがくっきりとした美人さんのお母さんと僕のお父様のクラシカルな端整さが混じった感じのミステリアスな魅力を持った顔立ちも役に立っているような気がする。 「ユキが特別ってわけでもない。男でも敏感な人間は弄られればそうなるように出来ている」  慰めるように言った後にしげしげとソコを見られてしまって、何だか余計に熱さが加わったような気がした。  ツンと立った――といっても男の僕のそんなトコをシゲシゲと見る通行人はいないだろうなってゆうことくらいは分かる。  エッチな動画だけじゃなくてユーチュー〇とか暇な時に見るけど「元アイドルの胸に頭痛薬を置いて立っているように見せかけるドッキリ動画」とかの企画が有ったような。その時は男の人三人はちらちら見ていたけど。  でも、リョウさんとかユリさんみたいな趣味の人は少ないらしいし。  だから大丈夫だろう、多分。 「『男でも』って――女性はそれが普通なの?」  多分そうだろうな……って思っていたけれど、そんなことをはっきりと聞いたわけではないのでこの際聞いておきたかった。  だって、僕が観るようなエッチなモノも含めてフィクションが有ることも知っている。  昔のドラマを観ていると僕のお父様のような職業の人の娘が高校だかの先生をしているとかいうのまで有った。それを観るとやっぱり何か違くないかな?って思ってしまうし。  それに他のことを考えたら胸の熱さを忘れることが出来るような気がするのも事実だったし。 「ああ、そうだが。ただ、やはり個人差は有るらしいし……。ユキの場合は催淫剤を塗られただろう?  だからそういう感度が上がってもおかしくない。  デニム地の方がもっとごわごわしているだろう?あれを着た方がもっと悦楽が得られる……。ユキは二次会でお金を稼ぎたいのだろう?だったら、こっちで充分感じられるようにしておいた方が良いんじゃないか?」  リョウさんは卑猥な感じを一切感じさせない親身な感じでアドバイスをくれた。良い人なんだなって思ってネオンに照らされた彫りの深い男らしい顔をまじまじと見惚れてしまった。  催淫剤は単に感度を高めるためのお薬なのは分かっていた。  僕のお父様は嫌っていたし、実際覚せい剤を売りさばいて破門になったっていう構成員が居たのも知っている。  ただ、今は覚せい剤に似た化学式の――といっても、見た目はただの白い粉末だし、口に入れるモノでもないので悪質な人間は調味料の「味の素」を混ぜてグラムを誤魔化すとかも聞いている――いわゆる亜種とでもいうものが人体に与える影響が昔ながらの覚せい剤とは違っていると聞いた覚えが有った。  そして、体内から全部抜けるかどうかは体質とか相性の問題だということも……。  ま、今の僕には全く関係ないし、こんなことを考えたのも熱く疼く乳首から注意を逸らしたいからだったけれど。  そんなことを考えていたのが分かったのかリョウさんは悪戯っぽい笑みを浮かべて、乳首をツンと弾いてきた。

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