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第1話 prologue
「じゃあな」
「ああ」
『またな』とは決して言わない。
マンションの前であっちとこっちに別れて歩いてゆく。肌の味は知っているのに、本名は知らない相手。振り返ることもない。
ていうか、どうでもいい。
食欲と性欲と睡眠欲、一番我慢できないのは何だろう。
俺は人の食欲を満たすのが仕事がだけれど、俺を満たすことができるのは誰だろう、ってときどき考える。
そんな時に思い浮かぶ相手と最後会ったのは、二年前の卒業式だった。
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