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第9話
急速に熱が上がった二人は、雪崩れ込むようにして家へと入り、布団の上へと倒れ込んだ。
縺れ合い絡まり合い、冷え切ってしまった身体を互いの熱で温め合う。
「弥次郎、あんたまだ身体が、」
「いいんだ、だって、おれ、ずっとスイが、」
互いが互いの昂ったまらを押し付け合い、口を吸い合った。
「触っても、」
「ああ、おれも、」
囲炉裏で薪が爆ぜる音と、二人が奏でる水の音、それに荒い息遣いが狭い小屋に響いた。
「はあ、弥次郎、弥次郎」
「スイ、あっ、あっ、イく」
二人はあっという間に互いの手の中で欲を吐き出した。スイは弥次郎の白濁が付いた己の手の平に唾を吐き出した。
「いいか」
「ああ」
「あんたが下でいいのか」
「…おれは経験がないから、やりかたがわかんねぇ」
弥次郎の黒く濡れた瞳がスイを煽り、前後不覚になるほど興奮したスイは、性急に弥次郎の股を割り開いて中心に閉じる菊門に体液を塗り付けた。
「弥次郎、力を抜け」
「ああ…ンっ」
スイは指を一本ずつ挿れていく。尻子玉を抜くためではない挿入は初めてで、傷つけないよう慎重に窄まりを広げていった。
「弥次郎、弥次郎」
「あっ、あ、ああ、スイ」
己の下で乱れる弥次郎に胸が締め付けられたスイは、太く育った男根を弥次郎の菊門に押し当てた。
「弥次郎。挿れるぞ」
「ああっ、はやく、夢が覚めちゃいけねぇから、はやくぅ…っ!」
「夢じゃ、ねぇって…!」
「あっ…!」
スイが挿入を果たすと、弥次郎のまらの先から汁が噴き出た。真っ赤になった弥次郎は股間を手で隠すが、スイはその両手を掴み布団へと押し付けた。
「隠すな。見てえ」
「いや、恥ずかし…アッ、ん、あぁっ」
スイが腰を揺らす動きに合わせ、弥次郎の汁は彼方此方へ飛び散った。
「気持ちいいか?」
「あ、ああっ、きもち、いいっ、スイは、スイ、お前さんは、きもち、っ」
スイは微笑むと、弥次郎の口を塞いで舌を吸いながら、腰を激しく打ち付けた。弥次郎の腕が背中に回り、爪が食い込む感覚にスイはとても満たされて、弥次郎の中に精を放ったのだった。
*
後日、薬の入手方法を訊かれたスイは、弥次郎に真実を打ち明けた。河童だったこと、竜神様に身体と引き換えに薬を貰ったこと。
スイは騙していてすまなかったと弥次郎に頭を下げた。
「おれの身体って、全部お前さんでできてるんだな」
今こうして生きていられるのは、スイのくれた魚と薬のお陰だ、と弥次郎は丸みを取り戻した頬を染めて感謝した。
「今度はおれが恩返しする番だな」
「いや弥次郎が俺を助けてくれて」
「いいやおれが」
「いやいや、俺が…ふはは」
「ははは」
そうして二人は、末永く仲睦まじく暮らしたそうな。
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