1 / 8

第1話

 プロローグ  立花(たちばな)晴斗(はると)は、友達もいない自分を好きになってくれる人など、現れるわけがないと思っていた。  胸の奥から戸惑いと、疼くような熱い気持ちが込み上げてくるのを感じ、晴斗は視線を泳がせる。 「大丈夫か、ハルト」 「……平気、です」  デュークに顎を押さえられ、強制的に目を合わせられた。 「君をくれるんだろう?」  青色の双眸が細められ、その甘い声音にぞくぞくと背筋が粟立った。 「デュークさん……」  彼の視線から逃れられず、晴斗は吐息のように息をつく。  いつ見ても美しい人だと思いながら、晴斗は熱を帯びた眼差しをデュークへ向ける。  貴族のみが入隊を許されている上級騎士団の団長で大貴族ラルム家の当主、優雅な容姿とは裏腹に、騎士団最強と言われる剣の腕を持つ実力者で、黄金の疾風の通り名を持つ。  その上、聖獣乗りとして空獣ノアールを操る彼は、部下や周囲の人々から信頼され慕われている優秀な人物だ。 「君の体、ガチガチに緊張している。もっと力を抜いてくれ」  リラックスさせるように、デュークの熱く大きな手のひらで包み込むように頬をゆっくりと撫でられた。彼の手の動きに、これまで知らなかった欲望が芽吹き、晴斗の乳首と性器が一瞬で硬くなってしまう。 「や、あ……あの……僕……僕は……」 「隠さないで、私に全部見せてくれ」  耳元で囁かれ、体から力が抜け落ちると同時に、晴斗の唇からため息がこぼれた。  彼の長い指先に、平たい胸の硬く尖った左右の乳首を強く摘まれ、引っ張られる。痛みのような甘い刺激が突き上げ、ひくひくと体が震え出した。 「あぅ……っ」 「敏感だな」   デュークの手に撫でるように愛撫されながら、彼の唇が乳首を含み、舌で弄ばれる。  甘い刺激が全身に伝わり、太ももの内側が小刻みに揺れて、先走りの雫が滴った。  恥ずかしさのあまり身じろぐと、素早く口づけで動きを封じられてしまう。クチュリと淫らな水音が聞こえた刹那、鼓動が一気に早鐘を打ちつけた。 「あ……っ、デューク……さん……っ」  今までこんな気持ちになったことは一度もない晴斗は、自分の中にこんな感覚が存在することに戸惑いながら、言葉に出せない思いを胸の中でつぶやく。    ――愛しています、デュークさん……。  彼と出会う前、晴斗は日本にいた。  ドルフィントレーナーとして水族館で勤務していた日々が、遠い昔のことのように感じられる――。

ともだちにシェアしよう!