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第5話その一言が気になって

「リク……本当に、嫌だと思ってるか?」 「……え……?」 「俺はリクの嫌がることはしたくないから、いや、って言ったら止めるからな」  わざと指を中から引き抜こうとすると、リクが困った顔を見せる。そして口元を手で覆いながら首を横に振った。 「……止めちゃ、だめ……ぁぁ……ッ」  リクエストに応えてすぐに指を奥に沈めてグリグリと刺激すれば、呆気なくリクが蕩けて甘い声を漏らし出す。何度も「いや……」と言いかけて、その都度口を押えて呑み込んで、代わりに掠れた声で「イイ……っ」と啼くのがたまらない。  こんなに悦んでいるなら、体を繋げたらもっと悦んでくれる?  リクを悦ばせたい気持ちが前に出て、俺は指を引き抜き、早く中に入りたくて硬くなっていたものにゴムを被せる。そしてローションをたっぷり垂らしてから、リクのぬかるんでヒクついて誘っている所を目がけて押し込んだ。 「アッ……ぅ……ン……ッ……」  指を挿れた時よりも進みが悪い。リクも苦しそうに顔をしかめて息を詰まらせる。  やっぱりここまで進めるべきじゃなかった、と後悔しかけたその時、リクは俺を見上げて微笑んだ。 「イイから……来いって……奥まで、な?」  浅い息をくり返しながら、リクが俺の頬を撫でてくる。ますます頬は赤くなって、目から涙が溢れそうなほど潤みが増している。本当に気持ち良いのか、苦しいのを堪えているのか、初めてのことだらけで俺にはまったく分からない。  でもリクの中は俺が動きを止めていても、ずっと可愛く脈打って俺に先へ進めと急かしてくる。  ……本当に嫌なら言ってくれる。俺に対して我慢するようなヤツじゃない。  俺はリクを信じて、じっくりと奥へと繋がっていく。俺のものがリクの熱さを徐々に覚えていくほど、早く埋めてしまいたくてたまらなくなったけれど、少しでも負担にならないようゆっくりと沈めた。  そして根本まできっちりと埋めると、リクが口元を緩め、うっとりとした表情を浮かべた。 「……はは……入ったぁ……やっぱ、おっきいな……前に風呂入れって、銭湯に連れて行かれた時に見てさ……これ挿れるとしたら、かなり慣らしておかなくちゃなあ……って思ったんだよな」 「銭湯に……って、あれ確か出会って一か月も経たない内じゃあ……」  俺がふと気づいたことを口にすると、リクがハッとなって口を手で隠す。  そんな前から俺のことをそんな目で見てたってことは、まさか……。  俺はリクを覗き込みながら、強烈に気になってしまったことを尋ねてみた。 「なあ、リク……お前が俺のことを好きになったのって……いつ?」

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