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第1話

「今日一枚目のお便りは、青色2号さん。いつもありがとう。 『うみさん、こんばんは。最近、忙しくて休みがなく、うみさんの声が聴ける「GNウェーブ」が唯一の癒しです。うみさんの最近の癒しはなんですか?』 いやー青色2号さんはなんかこう、みんなに必要とされている人なんだろうね。いつもメールしてくれるけど、なんか頼りがいありそうだし、いつも嬉しいことを言ってくれるしなぁ。 さて最近の癒しってことだけど……あ、そうだ。映画を見たよ。『天使の羽が落ちた日』! 実写化のやつ。 主役の彼ね、空木(うつぎ)壮良(そら)くん。彼って普段クールな感じだからこの役どうなのかなって思ったけど、いいね。すごく良かった。大げさに演技する感じじゃなくて、秘めた熱情を感じさせる抑えた芝居がとても良かったな。 あ、じゃあ今日の一曲目はこれにしよう。映画の主題歌にもなった……」  生放送とはいえ、10年続けていることだ。言葉は淀みなく出てきて、流れるように曲へ。一通りの進行は打合せしているけれど、よっぽど大きなトラブルがなければその日の調子で流れを変えることも多い。そこは長年一緒にやっているスタッフとの呼吸だ。  金曜の深夜、一時間の生放送番組「GNウェーブ」は、俺、海道(かいどう)侑心(うみ)、通称うみさんが20歳の時からラジオパーソナリティーを務めるそれなりの長寿番組だ。  学校や仕事が終わった後のちょっとした夜更かしにまったりした時間を提供するオーソドックスな作りだけど、そのシンプルさがいいのかありがたいことに今年で10周年になる。  その間、もちろん大変なことも色々あったけれど楽しいことの方が多く、俺の20代は常にラジオとともにあったと言っても過言ではないだろう。  そんな中持ち上がったのが、10周年スペシャルの話だった。

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