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初めての朝(4)
「本当もう、どんな顔して陽介さん見ればいいんだろって考えてたのに、あんたが朝からあんな可愛いことするから、朝だけど、また触れたいって思って。でもそんなのガキくさいだろ」
緊張すると、お喋りになる大ちゃん。
でも、今日はそれとは少し違うね。
思っていることを、こうやって言ってもらえるのは嬉しい。
言ってくれなきゃ、俺は分からないからさ。
「俺、本当に、陽介さんが好きなんだよ……。暇さえあったら、ずっとあんたのこと考えてる。そんなに好きな相手だからこそ、かっこよく見せたいって、思うに決まってんじゃん……。大人でありたいって、誰だって考えるに決まってんじゃん……、」
大ちゃんの、声が震えてる。
俺を抱きしめる腕も、なんとなくだけど、震えてる気がした。
「大ちゃん……」
ゆっくりと、彼の背に手を回すと、さっきよりももっと心音が近くで聞こえて。
あの、寝ている彼の背中にそっと触れた時の幸福感が、またじわじわと込み上げてきた。
「大ちゃん、好き、」
嫌われてなかったんだっていう安堵感とそんなに思ってくれてるんだっていう嬉しさでまた胸がいっぱいになって。
俺は首を少しだけ動かして、彼の頬にキスをした。
「今のは、あんたが完全に悪い」
「え……?」
気がつけば再びベッドの上。
そして、視界に入るのは、真剣に俺を見つめる彼の顔。
「大ちゃ……」
「俺じゃなくて、陽介さんが、悪い……っ」
「なんで……、」
「可愛すぎだって、本当にもう……」
「……やっぱり後で、一緒にコンビニ行こう。昼ご飯買いにさ、」
目を逸らしてそんなことを言う彼に、心の中で可愛いのは君だと呟いて。
それから手を伸ばし、愛しい彼に思いっきり抱きついた。
END
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