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これから始まる(9)

「……ふ、」 何度も重ねられる唇に、合間に漏れるお互いの吐息に、余裕をなくしてもうキスに応えるのがやっとだ。 彼が俺のことを好きだなんて、幸せすぎておかしくなりそう。 回した手に力を込め、すがりつくようにして抱きつく。 「……っ、ん」 キスしてるのに、もっと欲しいって、彼を欲する気持ちを止められない。 呼吸もうまくできないのに、それでも欲しくてたまらないだなんて。 でも、そんな自分を笑う余裕もないし、もうみっともなくていいやって、彼のキスを受け入れる。 「ねぇ」 「ん?」 「俺ね、」 唇が離れ、俺の口の端から零れ落ちる唾液をペロリと舐めている彼に、くすぐったいよと笑いながら頭を撫でる。 「もっと、好きになっちゃった」 彼の髪にちゅっと軽いキスを落とせば、だからそれはダメだって、顔を上げた彼に鼻を噛まれた。 「我慢できなくなるだろ。下にはひかるの親がいるのに」 「あ、」 「忘れてただろ。ばーか」   「でも、俺からだってキスしたいよ。されてばっかりじゃあなくてさ、」 自分からするのはいいのに、俺からはダメとかそんなの酷いじゃん。 それが気に入らないから。 髪の毛を掴んで、彼が痛いと言うほどに引っ張った。 案の定怒った彼が、俺の耳を引っ張る。

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