48 / 226

これから始まる(8)

「いつから知ってたの?」 「ん?」 「俺の気持ち、いつから知ってた?」 沈黙に耐えられなくなってそう聞いてみると、彼は俺の鼻に自分の鼻をすりすりと合わせた。 「ひかるの気持ちに気づいたのは去年」 「去年……?」 「そう。だけど、俺がひかるを好きになったのは、もっともっと前」 「もっと前って? いつ? いつから?」 気になるような返事だけしておいて、彼はそれ以上は何も言うことなく、少しだけ意地悪な笑みを浮かべている。 教えてくれたっていいじゃないか。 お互いの気持ちは分かったんだ。 知られてマズいことなんか何もない。 「ねぇ、いつから」 「はい、ひかる。あ~って口開けて」 「あ~……!」 当たり前のように話を遮られ、おかしなことを要求されてのに、彼の言葉につい従ってしまった。 開けた口の中に、またしても彼の舌が滑り込む。 「んっ、」 最初のキスもなかなか濃いキスだったけれど、今度のは激しい。噛みつかれているような、そんな感覚。 少し唇が離れた瞬間に大きく息を吸う。 鼻での呼吸じゃ追いつかない。 「ふぁ、」 苦しそうにしている俺を気にすることもなく、彼はキスを続ける。 苦しいよ、と背中を何度も叩くとやっと解放してくれた。 「くるし、」 「ひかる」 「んぅ、」 でもそれもほんの一瞬。 すぐにまた唇を奪われる。

ともだちにシェアしよう!