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それだけ?それとも……。(10)
でもそのクラスの男子は俊太に触られても特に何も思わないって言うから、自分のことを何とも思ってない男子と俺が同じ気持ちだってそう思ったんだよな?
「俊太、」
「ひぅっ、ぁ、」
「俺のこと、好きなの?」
ぶわっと、またたくさんの涙が俊太目に溜まる。いつもはにこにこ笑ってくれる俊太を、俺がここまで泣かせてしまったんだ。
俊太だって何も考えてなかったわけじゃないのに。俺のことで悩んでくれていたのに。
俺は、自分のことしか考えられていなかった。
「俊太、ごめんな」
ごめん。ごめんね、俊太。
俺はぼろぼろと溢れ出るその涙を舌で掬い、赤くなった目蓋にそっとキスをした。
小さく揺れる睫毛。潤んだ目で俺を見つめる俊太。
「俺だって、特別だよ。俊太といると、嬉しいし幸せだよ。手を握られるのだってさ、」
「たつひ、さ、くんっ、」
「こんなことなら、もっと。早く言えば良かった」
「……っ、」
もう泣かないでって、そんな気持ちで俊太の頬に触れ、親指の腹で伝う涙に触れる。
指先が震える。気持ちが重なるってことが、こんなにも温かで切なくて、でも大切で奇跡みたいなものだとは知らなかった。
「俊太……」
わんわんなく俊太のおでこにちゅっと軽いキスをして、さっきは怒鳴ってごめんともう一度謝った。
それから力強く俊太を抱きしめ、だけど抱きしめるその手の震えに自分でも苦笑しながら、好きだよと気持ちを伝え、優しく甘いキスをした。
END
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