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君と会える日後日談(1)
時雨が見えなくなって、三日が過ぎた。
そのたったの三日間も俺にとっては倍以上の時間に感じる。
「ふぅ、」
触れられなくても姿が見えなくても、せめて声だけは聞いていたいってそう思うけれど、それは時雨には言えない。
きっと、見えない自分のことを悲しんでしまうから。
会いたい。時雨に、会いたい。
時雨のいない席を見つめながら、周りの誰にも聞こえないくらいに小さな声で呟いた。
学校から帰ると、縁側に寝ころんだ。
視界に入ってくるのは、大嫌いな青空。
睨むようして見上げるけど、そうしたところで雨が降るはずもない。
「もし魔法が使えたら、一生雨を降らすのにな」
そんな願い、叶うはずもないのに。
どうしてかそう願ってしまう。
「そんなことができたら、毎日、時雨を抱きしめてやれるのに」
あーあ、寂しいなぁ。
時雨がいないと、すごく寂しい。
「時雨……」
俺はだんだん悲しくなってきて、手で顔を覆った。青空なんか、なくなってしまえ。
いつもいつも、真っ暗でいい。
ゴロゴロ雷が鳴ったって怖くない。
時雨さえいてくれれば、それでいい。
なんだか太陽の光を浴びていることさえ気に入らなくなり、俺は部屋に戻ることにした。
目を開けて眩しさを感じ、ごろりと寝返りを打つ。
それから立ち上がろうと肘をついた時、視界にぐるぐると巻かれたホースが入ってきた。
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