108 / 226

君と会える日後日談(1)

時雨が見えなくなって、三日が過ぎた。 そのたったの三日間も俺にとっては倍以上の時間に感じる。 「ふぅ、」 触れられなくても姿が見えなくても、せめて声だけは聞いていたいってそう思うけれど、それは時雨には言えない。 きっと、見えない自分のことを悲しんでしまうから。 会いたい。時雨に、会いたい。 時雨のいない席を見つめながら、周りの誰にも聞こえないくらいに小さな声で呟いた。 学校から帰ると、縁側に寝ころんだ。 視界に入ってくるのは、大嫌いな青空。 睨むようして見上げるけど、そうしたところで雨が降るはずもない。 「もし魔法が使えたら、一生雨を降らすのにな」 そんな願い、叶うはずもないのに。 どうしてかそう願ってしまう。 「そんなことができたら、毎日、時雨を抱きしめてやれるのに」 あーあ、寂しいなぁ。 時雨がいないと、すごく寂しい。 「時雨……」 俺はだんだん悲しくなってきて、手で顔を覆った。青空なんか、なくなってしまえ。 いつもいつも、真っ暗でいい。 ゴロゴロ雷が鳴ったって怖くない。 時雨さえいてくれれば、それでいい。 なんだか太陽の光を浴びていることさえ気に入らなくなり、俺は部屋に戻ることにした。 目を開けて眩しさを感じ、ごろりと寝返りを打つ。 それから立ち上がろうと肘をついた時、視界にぐるぐると巻かれたホースが入ってきた。

ともだちにシェアしよう!