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君と会える日後日談(2)

「あ……」 ふと、頭の中に良い考えが浮かんだ。 もしかしてと慌てて起きあがりホースを手にとって、大量の水を出してみた。 ホースの先を軽く指で押さえると、雨みたいに見える。その水を、縁側に立って、空に向かって放った。 キラキラと落ちていくそれを見ながら、思わず笑みがこぼれる。 これなら、いけるかもしれない……! 俺は水を止めると、急いで部屋に戻り、時雨に電話をかけた。 「もしもし、時雨?」 『あの、どちら様?』 聞き慣れない女の人の声がして、俺はそこで大切なことを忘れていたと気付いた。 時雨は今、透明になって見えないのだから、受話器だって持てないんだ。 電話で話そうものなら、時雨のお母さんが受話器を持ったままになる。 話を聞かれるのは、何だか恥ずかしい。 こうなったら、時雨にうちに来てもらうしかないな。 「時雨くんと、同じクラスの皐月です。今どうしても話したいことがあるので、時雨くんに俺の家に来るように伝えてもらってもいいですか?」 俺の家と時雨の家は近いし、今なら俺の家は誰もいないから。 すぐにでも、試してみたい。 『あぁ、皐月くんね。この間は泊まらせていただいて。あの子すごく喜んでたわ。ありがとうね。ちょっと待っててね、今聞いて来るから』 「お願いします」

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