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俺を愛して(1)

どうしていつもこうなってしまうんだろう。 俺はただ、愛されたいだけなのに。 それを願うことも許されないの? いつものように適当に脱ぎ散らかされた彼の靴。そして、その横には知らない女物の靴がまた同じようにして脱ぎ散らかされていた。 そういう行為をするつもりで、玄関のドアを開け部屋に入ったことがそれを見ただけで分かるし、かすかに部屋から聞こえてくる声に、改めて現実を突きつけられる。 今すぐにあのドアを開け、ベッドにいる二人に思いっきり怒鳴ってやりたい。 ふざけるなよとそう言って、彼を殴りつけたい。 頼むから俺だけを見てよと、気持ちをぶつけたい。 けれど、そんなことは俺にはできないから。 決まり事のように俯いて歯を食いしばり、静かに玄関のドアを閉めた。 「はぁー……」 近くの喫茶店に入り、独りで寂しく暇を潰すことにした。 毎回こうじゃないか、いい加減慣れただろ? そうやって自分に言い聞かせるけれど、それでも苛々は収まらないし、孤独感や虚しさやらで気持ちが重くなる。 ムカムカして、気分が悪い。 「はぁ……」 すっきりしたくて頼んだグレープフルーツジュースを流し込んだけも、全くもって無意味だった。 いっそのこと、俺も遊んでやろうか? そんな考えが頭を過ぎるけど、実行には移せない。

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