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強がりないちご(15)
こつんとおでこがぶつかって、すぐ近くにある森川の顔に、痛いくらいに心臓が鳴る。
でもこの痛みは、昨日みたいな苦しさからのものじゃない。
「森川……」
「綾瀬、好き」
「……ん、」
頬が焼けそうなくらいに熱い。触れてなくても分かる。内側からじりじりと熱が広がっていく。
そんな俺を見て“今日もいちごだな”って、森川が笑った。
「俺がこんなに真っ赤にさせてると思うと、なんかすげぇ嬉しいんだけど」
「ば、か、じゃねぇの……」
「うん。ばかでいいよ。綾瀬ばかで」
「……っ」
さらりと恥ずかしいことを言う森川が憎い。どこにそんな余裕があるんだ。俺は、もう、いっぱいいっぱいなのに。
気に入らない──と森川をにらみつければ、“そんなを顔しても可愛いだけだよ”って、またキスをされる。
「キスばっかりじゃねぇか」
「嬉しいくせに」
「嬉しくねぇっ」
「はいはい」
“今日こそ食べ頃ですか?”って、にやけた森川の頭を思いっきり叩いた。
この場面でお前はまたふざけるのか。
「ばかっ、」
だけどその後、真剣な顔に戻った森川が「俺と付き合って欲しい」だなんて真面目に言い出すから。
びっくりしてぽかんとしたら、「可愛い間抜け面」って、また唇を奪われてしまった。
END
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