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俺を愛して(3)

だけど、どうしようもないんだ。 それでも、彼が好きなんだから。 好きで好きで、たまらないから。 「ばか……っ」 いつか捨てられるとしても、それまでは一緒にいたい。自分の心を殺してまでも彼の傍にいたいの。 だって別れてしまったら、関わりが一切なくなってしまうだろ。 我が儘は言わない。 会いたくても、俺からはあまり連絡は入れない。 甘えたくても、甘えない。 めんどくさいって嫌われたくないから。 できるだけ長く恋人でいたい。 “体だけでも相手にしてもらえるんだ” “他には何も望まない” “もう十分だろ” ずっとずっと言い聞かせてきた。呪文のように何度も唱えた。 でも……、でもね。 たまには、愛して欲しいよ。 叶わないと分かってはいるけれど、願わずにはいられない。 俺が彼に対して抱いている愛情のほんの少しでいいから。たまには俺だけに、愛をちょうだい。 「死んでも、きっと無理な話だ……」 ストローに口をつけ、ジュースを流し込む。 氷が溶けて薄くなったグレープフルーツジュースが、口いっぱいに広がった。 こんなふうにどんどん薄くなって、そのうち関係がなくなってしまうのかな。 いつまで俺は、彼の傍にいられる?

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