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ミサンガ続編(1)
◆雅宏side◆
俺と祥太はミサンガ事件をきっかけに、幼なじみから晴れて恋人に昇格した。
付き合って今日でちょうど半年経つけれど、俺たちはまだキス止まり。
それに俺は、祥汰に好きだと言ってもらったこともない。あのミサンガ事件の時ですらだ。
態度ではそりゃあもう可愛く言ってくれてるけれど。
キスをすると真っ赤になったり、好きだと俺が伝える度に照れ隠しで俺の頭やら体を叩く回数が増えるから、ちゃんと好かれてるってのは分かる。
だけどミサンガを作ったりなんかして、先に行動を起こしたのは祥汰なのに、付き合い始めてからは俺からしか行動を起こしていない。
キスをするのも好きだと伝えるのも、俺が一方的にやってるだけ。祥太の性格を考えればそれも仕方のないことなのかもしれないけれど、でも俺だってちゃんと言葉で好きだと言われたいし、心でも体でももっと必要として欲しい。
そんな俺にとって今日のエイプリルフールは神様からの贈り物としか思えない。
すげぇこと言って驚かせてやるんだ。祥太がその俺の嘘で取り乱して、俺を想って泣いてくれたらもう本当に最高。
「よし、」
絶対に好きだと言わせてやると意気込んで、俺は軽く頬を叩いた。
頭の中で何度もシミュレーションをする。
その時、ナイスタイミングで祥汰がベランダの窓から俺の部屋に入って来た。
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