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【Side S】
支度を終えてベッドルームに入ると、すやすやと穏やかな寝息が聞こえた。細い背中が、規則正しいリズムで上下している。
やっぱり寝ちゃったか。
今夜はなんとなく〝そういうこと〟を期待されている気がしていただけに、少し……いや、かなり残念だけれど、ぐっすり眠っている理人 さんを見ると純粋な安堵を覚える。
口元がだらしなく緩むのを自覚しながら、肌寒そうな背中をそっと布団で覆う。
「おやすみなさい」
続きは明日。
起きていたら真っ赤な顔で怒られそうなことをこっそり囁き、理人さんの閉じた瞼に口づけた。
fin
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