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第25話

ふっとリュークが目を開けると、いつものように自分の腕の中ですやすやと幸せそうな顔で寝息を立てているブランの顔が目に入りました。 あの時からもうどれ位経ったのだろう? 幸せな時間とは何と早く流れていくことか。 そんな事を考えていたリュークが、暖かいベッドの中にいるにも関わらずブルッと身震いをしました。 なんだろう、今日はやけに肌寒い。 そろそろ秋から冬に変わる頃とはいえ、こんなにも寒いのは珍しいのではないか? ブランが風邪を引いてしまうのではと心配になったリュークがブランの体に手をかけた瞬間、その動きが止まりました。 そして何かを悟ったかのような顔になると、静かにゆっくりとブランケットをかけ直し、ブランに優しくキスをしてその体を抱きしめました。 「ブラン、今日は少し寒いようですね。あなたも珍しく起きそうにないようですし、2人でもう少しこのまま寝ていることにしましょう。ねえ、ブラン。私の、私だけのあなた、ブラン。おやすみなさい。」 そうして再びブランの唇に自分の唇を重ね、ブランをぎゅっと抱きしめると、リュークも静かにその瞼を閉じました。 城の庭を歩く身代わりの元に青ざめた顔の執事が震える体で、時々転びそうになりながらも走り寄ってきます。 声を出そうとしますが、それよりも先に目から大粒の涙がぼたぼたと零れ落ち、それを見て全てを悟った身代わりが何も言わず執事を胸に抱き寄せました。 「いつだ?」 しばらくして、執事が落ち着くと身代わりが口を開きました。 身代わりの胸に顔を埋めたまま執事が今朝だそうですと掠れた声で返します。 「そうか、とうとう連れて行っちまったか。残っていたものは?」 「何も、髪の毛一本すら、何も…」 「あいつめ、そんなにラーマを独り占めしたいのか!?」 そう言って少し怒った風に言った身代わりに、執事が顔を上げ首を振ります。 「いいえ、最後の仕上げをして行ったのはラーマ様の方です。」 「はぁ?!」 「調査をしに行った者が、ラーマ様の魔力だと報告してきましたし、私も確認しました。」 それを聞いた身代わりが天を仰いでゲラゲラと笑い出しました。 「結局、独占欲が一番強かったのはラーマってことか…もしかすると、俺たちはラーマにうまくあの術をかけさせられたのかもしれんな。アイツを自分だけのものにするために…おい、今夜は飲むぞ!お前も付き合え!」 そう言って、執事をしっかりと抱き寄せると二人は暖かい日差しの中、城に向かって歩き出しました。

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