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番外編(にゃんにゃんにゃん後)

にゃんにゃんにゃん(後)  何度も唇を寄せ合った。  リヅィアに注がれる息が熱い。リヅィアが興奮してくれていると思うと、僕も嬉しくて、身体が火照ってくる。喘ぎながらも、上から降ってくる唇を受け入れた。  手が、僕の尻を撫で、服をめくり中に忍び込んできた。指が、窄まりに触れる。 「あの、私も何か手伝いましょうか」  ハッと我に返った。振り返ればディノが、興味深そうに、僕と、そしてリヅィアの勃起したモノを眺めていた。  当然、嫌だ。リヅィアを見上げ、必死に首を振る。リヅィアはディノの方を見てもいなかった。 「どけ」  僕の訴えが通じたわけではなく、ただたんに、僕を押し倒すのにディノが邪魔だったらしい。目線はやらずに、手だけでディノのことを払った。  ディノはものすごく残念そうではあったが、すごすごと部屋から出て行った。 「キール」  また、口づけられる。性急な動きで、胸を撫でられ、尻を揉まれ、翻弄される。大丈夫だ。大丈夫、僕だって、自主練習を重ねてきたんだ。  今日だって、中は既にきれいにして、ある程度は解してある。衝動的な動きばかりを繰り返すリヅィアの掌を掴み、後ろに引っ張る。「指を」と言えば、意図が通じたのか、人差し指だけを立ててくれた。  それを、中へと導いた。 「んっ」  さすがに自分の指とは太さが違い、圧迫感がある。それでも、一度は柔らかくした中は、滞りなくリヅィアを受け入れてくれた。  それから、あの強い刺激を与えてくれる場所へと、腰を振り、捜す。 「んん、っ!」  見つけた。突然上がった僕の声に、リヅィアは驚いたようで、手の動きを止めた。心配げに眉をひそめている。  嫌だ、理性なんて取り戻さないで、もっと夢中になってほしい。僕は、腕から手を離し、両手でリヅィアの頭を捕まえた。ぐいと引き寄せ、唇にかぶりつく。  慣れない動きで、口内を舐め刺激を送る。リヅィアの目に情欲の色が濃っていくのを見、ほっとした。 「リヅィア、そこ、ん、今、指が触れているところを撫でていて下さい。指も増やして構いませんから、あぅ」 「ここか? ここであっているか、キール」  ぞりぞりと指の腹で擦られ、変な声が飛び出してしまいそうになる。自分で口を押さえ、何度も頷いた。  リヅィアは、従順にそこを撫で続ける。あまりの刺激の強さに、やめてくれ待ってくれと言いそうになるのを懸命に堪えた。  1本、2本と指が増えてくる。 「気持ちいいか? いつもより、広がっている。痛くないか?」 「大丈夫、です、か、ら、ぁ。もっと、リヅィア、もっと」 「っ、ああ」  リヅィアは、僕の腰を持ち上げ、そこを弄ることに専念をし始めた。苦しい。怖い。気持ちが良い。けど、このままでは達することができない。  一度、放った方が、余計な力が抜けて、挿入しやすくなるかもしれない。  僕は掴んでいた敷布から指を離し、自分の、既に濡れ震えている陰茎を握ろうとした。しかし、リヅィアに止められる。 「駄目だ、キール。どうしてほしい? 俺がするから、教えて」 「自分で、できるから」 「俺がしたいんだ、キール。ほら」 「ひぅ」  腰を支えていた方の手が、僕の前に触れる。握られ、上下に扱かれる。こんなの無理だ。耐えられない。 「ん――っ!」  呆気なく放ってしまった。頭がぼうっとする。違う、続けないと。 「いじ、って、下さい。中、もっと、広げて下さい。あなたを」  情けなくて、悔しくて、もどかしくて、涙がこみ上げてきた。 「あなたを早く、受け入れたいんです」  こめかみを伝い落ちる滴を、リヅィアが舐めてくれた。また、唇を割り開かれる。息が荒い。ふと下へと目をやれば、リヅィアの陰茎は更に大きく膨らんでいた。  ――やっぱり、無理じゃないだろうか。  そう怖じ気づく暇もなく、動きが再開された。 「うっ、あ、っ、んん」  もう早く解放されたい。つらい。  リヅィアは、くたりとなった僕の身体を俯せにした。何をされようとしているのか察して、膝を立て、尻を高く上げる。  怖い。けど、大丈夫、大丈夫。 「キール、好きだ、愛しているよ」  うん、大丈夫だ。  僕は必死に敷布に握りしめた。  ぬっと、リヅィアの先が窄まりの入り口に触れる。更に前に進められ、段々と中が開かれていくのがわかる。  大丈夫だ大丈夫だと、自分に繰り返し言い聞かせ、つい詰めてしまう息を、努めて吐き出した。吸って、吐いて。 「ああっ、い、っ、」 「っ、キール、平気か」  答える余裕もなくて、ただ何度も頷く。まだ、一番太いところを通り過ぎないのだろうか。苦しい。孔がみちみちいっている気がする。どんどん広げられている。  もういっそ一気にしてくれたらいいのに、僕のことを慮っているのか、進みが酷くゆっくりだ。早く。そうしないと、つい制止の言葉が出てきてしまいそうだ。  けれど、その優しさが、酷く嬉しい。  ぼろぼろ涙を零しながらひたすら挿入に耐える。もう少し。わ。 「――っ!!」  背筋がしなる。突然、リヅィアのものが、再奥にまで到達した。もうこれ以上はないくらいの中を突かれ、声が我慢できない。  入った。全部入ったんだ。 「キール、」  リヅィアに後ろから抱きしめられ、僕はもう溜まらなく愛おしくなってしまった。 「っ、中、動かさないでくれ。耐えられない」 「耐えなくて、も、いい、のに」 「煽るなよ、キール。な、これ以上は入らないのだろう?」 「……これ以上って」  まだ全部受け入れられたわけじゃないのか。さすがにさすがだと、つい笑ってしまった。リヅィアもつられてか、笑う気配がする。 「あ、ああ、あ」  ぞぞぞと中全体を擦られ、勝手に身体がくねる。くねるといっても、リヅィアに抱きしめられているため微細な動きに留まってしまう。  敷布を噛み、声を堪える。 「ん、んん」 「気持ちいい、キール」 「んっ」  それはよかった。  リヅィアはゆっくり、中のものを抜き、そして、引っかかったところでまたゆっくり挿し入れるを反復する。  その度に、あのすごい刺激をくれる箇所も撫でられ、溜まらない。 「ああぅ」  ずんと一際強く奥を突かれ、前に触れられていないにも関わらず、僕は達してしまった。 「あ……、」  そのほぼ同時に、僕の中で、リヅィアの自身が弾けた。  よかっ、た。  僕の意識は、これ以上ないくらい満足感の中で、薄れていった。 ***  目が覚めてから、リヅィアに「ありがとう」と繰り返し言われた。それから、「大丈夫か」とたくさん身体を心配してもらった。 「リヅィアは、気持ちよかったですか?」  そう問えば、こくこくこくと無言で何度も頷いてくれた。 「よかった、練習した甲斐がありました」 「練習?」 「はい、少しでも入りやすくするために、僕、毎日、指で広げていたんですよ」  成功したのだから、もう隠している必要はないだろう。少し恥ずかしいが、得意満面な笑みを浮かべてそう言う。対して、リヅィアの表情は渋かった。  僕の肩を抱き寄せ、「どうして言ってくれなかったんだ」と責める。それに呆然としてしまった。 「どうして、って、ちゃんとできるかわからないくて、がっかりさせたくなかったんです。それに、そんなことをしているなんて恥ずかしいですし」 「今度からは、一緒にする」 「――はい」 「するからな」 「わかりましたよ」 「ふん」  褒めて貰えなくてがっかりだ。 「いや、けど、ありがとう」  顔を上げる。と、額に唇が触れた。リヅィアの頬は赤く、口元は緩く笑んでいた。よかった。怒っているわけではなかったらしい。ちゃんと喜んでくれている。  僕はリヅィアの方に体重を預け目を閉じた。  腰が重いし、だるい。精神的にも疲労困憊だ。リヅィアの手が、僕の髪を何度も梳いてくれている。気持ちが良い。  僕はそのまままた、眠ってしまった。  (END)

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