13 / 14

番外編(にゃんにゃんにゃん中)

にゃんにゃんにゃん(中)  ディノの姿を求め、屋敷の中をうろうろする。来なくていいときに現れて、いてほしいときにはいない奴だ。  そんな理不尽なことを考えながら廊下を歩く。ふと、声が聞こえてきた。リヅィアとディノの声だ。少し先の扉が薄く開いており、そこから漏れてくる。  できれば、リヅィアにばれないように借りたい。僕はそっと中を覗き込んだ。そこは、寝室になっていて、大きな寝台の上、ディノが裸の状態で俯せに寝ていた。その後ろには膝立ちになってリヅィアが前を寛げている。  頭が、真っ白になった。 「いいんだな、ディノ」 「はい。どうぞ、好きなようにして下さい」  それは、どう甘く見ても、そういうことをしようとしているのは明白だった。  そうか。ディノであれば、体格もそう変わらないリヅィアをきっと受け入れられる。僕のように嫌がることも痛がることもしないだろう。リヅィアとの付き合いも長いし、2人とも顔が整っているのでとてもお似合いだ。  毎日毎日、僕なりに頑張って練習してきたつもりだった。思い返せば、それはとても滑稽で、恥ずかしいし、情けない。リヅィアを喜ばせたいなんて、とんだ思い上がりだ。調子に乗っていたのかもしれない。  じわじわと視界が滲んできた。 「勃起しないな」 「はい」  雰囲気にそぐわない会話の内容に、顔を上げる。もう一度、部屋の中を覗くと、今度は寝台の上に、お互いに向かい合って正座をしていた。ディノが、リヅィアの股の間を覗き込んでいる。  「どうすればいいんですか?」と尋ねるディノに、リヅィアは首を傾げた。 「キールが、嬉しいことを言ってくれたり、してくれたりすると、自然にな」 「具体的にはどうすればいいんでしょう」 「そうだな。お前、もう少し縮まないか? もう少し、こうキールのように、こう、可愛らしい仕草とかしてみせろ」 「縮めませんし、アレを可愛らしく思ったことがないので、どういう仕草がリヅィア様のツボをつくのか、わかりません」 「困ったな」 「はい、困りました」  何を話し合っているんだろうか。あまりに阿呆な会話に、思わずよろめく。その拍子に、扉がキィキィと音を立てて揺れた。  鋭い視線が寄越され、更に後退る。 「キール、ちょうどよかった」 「こっちに来なさい」  リヅィアとキールに左右の腕を引っ張られ、僕までもが寝台の上で正座をさせられる。頭が混乱している。一向に解決の糸口が掴めない。  彼らは一体、何をやろうとしているのだろうか。 「リヅィア様の勃起の手伝いをしなさい」  そうは言われましても、僕もどういうきっかけでそういうことになるのかがわかりません。よく僕なんかで勃つなと思う程だ。  ディノに睨まれ、リヅィアに見つめられ、居心地が悪い。 「あの、お二人は、何をしようとしているんですか?」  思い切って聞いてみる。すぐにディノから返ってきた。 「リヅィア様の勃起した陰茎を、お前の中に挿入する練習ですよ」  すごい。答えを聞いても、更に混乱するだけだった。練習ってなんだ。挿入する練習て、え、お前はそれでいいのか。 「私も興味がありますしね」  いいようだ。そうだよな、お前はそういう奴だ。  ディノから顔を背け、リヅィアの方へ向き直る。手を伸ばし、彼の膝に触れた。 「リヅィアが、ディノとそういうことをしたいのなら、――嫌だけど、すればいいです。けど」  リヅィアを見上げる。戸惑っているようだ。あまり乗り気ではない僕の反応が、腑に落ちないのだろう。 「そうでないのなら、僕とするための練習って言うのなら、やめてほしいです。練習、なら、ぼ、僕として下さい」  頬が熱い。自分からリヅィアを求めるようなことを言ったのは、思えば初めてだった。恥ずかしい。受け入れてもらえるか、怖い。  あのとき、すぐに『却下』なんて答えてしまって、酷いことをしてしまった。 「キール」  優しい声音とともに、抱き寄せられる。 「無理をさせたくない。勃起すると、余裕がなくなってしまって、我を失ってしまう。いざ挿入となったとき、うまく、できないかもしれない。それでは、キールもつらいだろうと、思っていた」  リヅィアにしがみつき、その腕の中で首を横に振る。  そんなことはない。リヅィアがディノと練習する方が嫌だ。 「まさか、キールからそんなことを言ってくれるなんて、嬉しい」  苦しい。強い、強い。息ができないくらいに抱きしめられ、慌てて、その太い腕を叩く。すぐに解放された。  下腹部のあたりが、熱い。見下ろすと、リヅィアのソレは見事に成長していた。 「勃った」

ともだちにシェアしよう!