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第6話

昼休みが終わり、俺はまたファイリングの作業に入った。 「室田」 コンコンと軽いノック音の後、柏木部長が顔を出した。 「あ、部長。すみません、ちょっと今ごちゃごちゃしてて.....」 「いい。ミツダ製菓の資料あるか」 「えっと......これですね」 さっき頭の中に入れたミツダ製菓のファイルを渡す。 「.......うん。これだ。ありがとう。」 わ、なんか......。 柏木部長の表情は確かに少し見ただけだと変化がわからない。 でも、今少し口角が上がったような......。 「何かいいことでもありましたか?」 「......、いや、ない」 「そうですか」 き、気のせいだった.......! それどころか資料を見つめる部長の邪魔をしてしまった。 何やってんだ俺! 「今日の業務だが、俺はこれから外へ会議にでる。室田のことを見てやれないから、資料整理がある程度終わったら帰っていい」 か、帰っていいのか。 「は、はい」 「ついでに吉田写真館の資料もくれ」 「あ......これっすね」 ちょうど今整理していたところだ。 「.......ん、ありがとう。じゃあよろしく」 「はいっ、お気をつけて」 大きめのファイルを2つ抱えると、柏木部長は足早に資料室から出ていった。 うーん、やっぱり何かいいことがあったんだ。 柏木部長はほんのり笑っていた。

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