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第11話
色々ぐちゃぐちゃと考えていたら天華くんが話し出す。天華くんの話を聞くために顔をあげる
「付き合ってた人たちは俺の私生活を見せちゃうと去っていきます。
みんなが求めているというか想像してる俺って良い家に住んでいる人って感じなんですよね。実際いくつもそういう不動産持ってるし。
お手伝いさんが沢山いて部屋も沢山あってきちんと手入れされた日本庭園かイングリッシュガーデンがあって…とか…もしくは夜景の綺麗な高級マンションでワイングラス片手に過ごしてるとか。でも結局あんな山の上の小さな家でしょ?そこでまずがっかりされるんですよ
んで、デートは高級店とかに連れていってくれたりして、たくさんプレゼントくれるって思ってるでしょ?でも俺のデートはだいたい山上ったり川にいったりなんですよ。プレゼントも何贈って良いかわかんないからあんまりしなかったし。
あとは…ご飯食べに行くときも敷居の高いお店でスマートにエスコートしてくれて高級料理をご馳走してくれるって思ってるでしょ?でも俺、自分で獣狩るしそれをそのまま捌いてそれを振る舞ったりするでしょ?俺外食より家でゆっくり手料理振る舞ったりしたいんですよ。
だから昨日美味しそうに沢山俺の用意した食事を食べてくれたことがすごく嬉しかった。デート…というかお墓参りも結構歩いたのに嫌な顔ひとつせずついてきてくれた。まぁ。ご両親に会うためだからなんでしょうけど…すごく…すごく嬉しかったんです。
付き合ってた子が求めてそうな交際もしたことはあるんです。でもそれってとても疲れるんですよね。結局俺の心が折れて続かなくてフラれることもありましたね。
まぁ…でも…一番の原因は…俺が貴方を忘れることが出来なかったからかな…どの子と付き合っても、今頃りっちゃんどんな風になってるかな?りっちゃんだったらどうするかな?って考えるんです…誰かを…抱いてるときもりっちゃんはどんな顔するんだろう…とか…すいません。変なこと考えて」
そんなこと考えてたの?たったあの一日を過ごしただけなのに…
「ごめんなさい。気持ち悪いですよね?…六華さん?…え?…泣いてる?え?やっぱり気持ち悪いですよね?わー!!ごめんなさーい!!」
慌てふためく天華くんが堪らなく可愛くて涙を流しながら笑うという訳のわからないことになってる俺を心配そうに覗き込む天華くんにそっとキスをする
「ふえっ!!えっ!!な…何っ?…え?えー?と…勘違いしても良いですか?」
「押し倒しながら言わないでよ。」
「ねぇ…六華さん…俺のこと…」
言葉を塞ぐためもう一度唇を重ねた。
「好き…好きになっちゃった…」
将来捨てられようがかまわない…今のこの気持ち受け止めたい…受け入れたい…
「天華くん。俺の恋人になってくれませんか?」
「はい。喜んで」
いつか迎える別れの日まで俺の思いを大切にする…
また降りだした星屑みたいにキラキラする雪を見ながら身を委ねた…
完
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