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第22話

岬side 布団に潜って寝ていた冬夜を起こすとき、彼はお母さん、と呟いた。 「......」 お母さん。 ちょっと気になって調べてみたら、冬夜は母親と二人で生活しているらしい。 ......これは、もう少し注意して見ておいた方が良さそうだ。 ファイルをしまうと、ちょうど体調不良で来た生徒に声をかけた。 退勤時間の六時半過ぎ。 「うーん、メッセージ返信してくれないなあ」 放課後になってから打ったメッセージにというより、今のところ返信は一度も来ない。 全然懐いてくれないなあ、子猫ちゃん...。 帰ろうと思い腰を上げた時、突然携帯が鳴った。 かかってきたのは、三田村先生からだ。 「はい、もしもし?」 『よ、岬。どう、高校保健医は』 相変わらず、姉御みたいな人だ。 「大変だよ。人数多いしね」 『岬のことだからどうせ女子生徒にモテてんだろ』 「かなあ」 『カワイイ子でも見つけた?』 あと、聞いてくることがオヤジ。 「子猫ちゃんを見つけたよ」 気まぐれツンツン子猫ちゃん。 「...ねえ、佐々木冬夜くんって知ってる?」 『ああ、アイツな。...アイツがどうかしたか?』 「三田村先生が急に休んだことを心配していたよ。.......どうして急に休んだの?」 声を聞く限り、病気とかではなさそうだ。 「産休?」 『んなわけあるか。...ま、色々あるんだよ』 色々。 まあ、そうか。 「佐々木くんは、よく保健室に来てたの?」 『おう、バイトで睡眠が取れないらしくてな。放課後は寝かせてやってる』 「っえ!」 『え?今居ないのか?」 冬夜は昼休み以降保健室には来ていない。 「あー、うん」 『今の時間だったらまだ屋上かなんかにいるんじゃないか?』 今っ?! だってもう六時半だぞ!? 『岬。佐々木の事をよく見てやってよ。アイツはなんか抱えてるからな』 確かに、抱えている。 「うん......それじゃあまた、......」 でも、出会いはいきなりで、しかも俺ががっついて。 足は自然と屋上に向かって動いていた。

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