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第24話
岬圭一が屋上を出たのを音で確認して、俺は身体を起こした。
アイツが掛けた白衣を見つめる。
...屋上で休んでいること、今まで保健室で仮眠をとっていたことを知っていた辺り、多分三田村先生が教えたんだろう。
残念ながら俺は音には敏感で、岬圭一がドアを開く音で目が覚めていた。
「今更ごめんって言われても...」
もうヤっちまったことは仕方がない。
怒ってるのか、と言われれば否定はできないけど。
また同じようなことはしたくないだけだ。
「うわ、避けなきゃよかった...」
白衣を抱えて途方に暮れる。
アイツ、さっき意識がある時に話をしよう、とか言ってたよな…...。
......めんどくさ。
「これも洗濯しなきゃいけないじゃん...」
立ち上がって白衣をはたく。
「...」
また、いい匂い。
っスン...
ちょっと顔に寄せて匂いを嗅ぐ。
ピピピッ!
「っ?!?!!...あ、ああ...アラームか」
時間はもう七時。
...早く帰って仕事だ。
音を鳴らし震える携帯を拾うと、俺は白衣を小脇に抱え屋上を出た。
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