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第4話
チキンとチーズをつまみに、シャンパンで乾杯。
1LDKの、クリスマス。
(なんだ、男同士とか関係ないんだ)
好きな人と過ごせれば、それだけで幸せなクリスマス。
ほんのり酔っ払いながらケーキを頬張る逢阪。頰にクリームをつけたまま美味しそうに食べている。そんな様子を見ながら浅倉は笑う。
何だよ、と逢阪が言うと浅倉はそのまま近づいて頰のクリームを舌で舐めた。少しだけ誘うような表情で。
その様子に思わず生唾を飲み込んで、逢坂からキスをする。
深く、舌を絡ませながら。
浅倉は何度も何度も、逢阪の身体にキスをする。
胸板から乳首や、腕や首筋を。その度に、逢阪の口からは甘い吐息が漏れた。
もう何度も身体を重ねたはずなのに、その都度 、気恥ずかしくなる。
「や…、あ…ッ」
「やだじゃないだろ、お前いい加減慣れろよ」
「そんなこと言ったって…ッ」
まずこんな声を聞かれることがなにより恥ずかしい。腕で自分の顔を隠そうとしていたが浅倉にその腕を掴まれる。
「せっかく、いい顔してるんだから隠すな」
「…このキザやろお…っ」
前を責められて、後ろを責められて。いつになく粘着したその触れ方に逢阪はたまらなくなっていく。
「あ、あさくら…」
「名前呼んで」
不意に、浅倉が逢阪の瞳を見つめた。今日はどうしてこんなに甘えてくるんだろう。
これもクリスマスの成す魔力なのだろうか?
「…遼、好きだ…」
「…ッ」
自分からおねだりしたくせに、名前を言った途端、逢阪の中に入っている浅倉のそれが大きくなる。
(かわいい)
多分、それを言ったら後でものすごく怒られそうだから、内緒にしておく。
その後、何度も絶頂を迎えた二人。終えたときにはもう身体から魂が抜けて行ってしまったかのようだった。
そろそろ寝ないと今日も仕事だったと、ヘロヘロの身体を引きずる。
不意に窓の外が明るい気がした。時計をみると午前2時。朝にしてはまだ早い。
嫌な予感がしてブラインドを押さえて外を覗くと、雪が積もっていた。いまの時点で屋根や車に積もっているということは明日の朝は結構積もってしまうだろう。
「積もってんの?」
背後から逢阪の声がして、浅倉が頷く。
店舗の前に置いてある車にもたくさん雪が積もるだろう。
「明日は雪かきから始まるのかあ〜〜」
「この時期はしょうがない」
流石の浅倉もため息をついた。
「でもさ、このハンドクリームがあるから今年は大丈夫!楽勝!!」
テーブルに置いていたクリスマスプレゼントを持ち、逢阪が笑った。
「…あほ」
そんな逢阪を見て、浅倉はまたもや赤くなり照れ隠しに逢阪のおでこをペチンと叩いた。
【了】
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