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『お前のことを守りたいよ』 『俺じゃあ駄目か……?』 触れられていると、いつも思い出す。あの時傷ついたのは俺なのに、それ以上に傷ついていた彼に胸が痛んだ。   「朝陽(あさひ)、何考えてるの?」 「……お前のこと」 「俺? かっこいいって?」 「ばーか……って、うん、国博(くにひろ)はかっこいいよ」 素直にそう言われたらそれはそれで照れるな、と彼が目を細めて笑った。背中へと回された男らしい筋肉のある腕の中で、俺もつられて笑みをこぼす。 「朝陽」 「なぁに」 「まだ目が覚めないから」 「覚めないって? 嘘つけ」 「起きられるように激しいおはようのキスをしてよ」 背中にあったはずの彼の手は下へと降りていき、大きなその手は誘うように俺のお尻を揉み始めた。スウェットの上から優しく触れられているだけなのに、昨日愛し合った熱を思い出してしまう。 「朝陽がしてくれないなら俺からするわ」 「……キスだけで足りる?」 「そんなこと言うんだ? 小悪魔め」 小悪魔なんて言うから、俺は国博の好きな上目遣いでペロリと彼の唇を舐めた。でもここまでが俺の精一杯。恥ずかしくてたまらなくなり布団の中へと潜り込んだ。 「そこまでして煽っておいて、逃げるの?」 「も……やだ、」 「何が嫌なの? 言ってみて」 「意地悪するな、よ……」  一緒になって布団の中に潜り込んだ彼は暗闇で俺を捕まえた。何も見えないそこで彼の吐息を感じ、それだけで興奮してしまう。ぎゅうっと目を瞑った時、唇に温かい感触がした。 「赤い顔を見られなかったら恥ずかしくないだろ?」   ゆっくりと再び重ねられた彼の唇は、少しだけかさついていた。後頭部へと手が回され、彼は髪で遊び始める。布団の中はただでさえ呼吸が苦しいと言うのに、彼の体温や匂いに包まれ、あげく口を塞がれるだなんて。 「んっ」 酸素を吸いたくて布団をめくれば、俺のことがたまらなく愛おしいと言わんばかりの表情をした彼の顔が目の前にあって。大きく息を吸ってもう一度布団をかけようとしたその手を掴まれた。 「やっと顔が見えた。やっぱり可愛い」 「……ふぁ、」 手を掴まれたままベッドへと背中を押しつけられる。すぐ近くにある彼の顔を見ていられなくて、もう一度目を閉じると瞼にキスが落ちてきた。 「俺のこと見てよ」 「ん~!」 「抵抗しても可愛いだけだよ」 それでも目は開けられなくて閉じたままの俺を、彼はくすくすと笑った。

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