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そりゃあ健全な男の子ですから。

椎奈side 先日、人生初の告白をした。 結果はまぁ無事成功した(脅した)。 スタイルが言い訳でも、とびっきりの美人な訳でも無いし、ノリが良い訳でもない。 しかも男。 でも一緒にいると落ち着く奴。 まぁコイツは俺の事覚えてないだろうけど。 一週間だけでもいいからまた話してぇなって考えてたらいつの間にか告白(恐喝)をして、デートまで仕掛けていた。 ……我ながら自分の行動力はかなり異常だと思う。自分ですらちょっと引いてる。 自分から話しかけに行かないタイプらしい万智はどちらかというと地味な性格で。 周りからは「平凡」って言われがちだ。 つか、俺も最初はそう思ってた。 けど、こうして一緒にいればいるほど、万智の意外と芯が強いところ、真っ直ぐで誰にでも優しく出来るところに気づけば惹かれていった。 なによりすげぇ可愛いし。 もっもっ、と隣でものすごく美味しそうにクレープを頬張る姿はまるで小動物だ。 「んーすっごく美味しいです!教えてくれてありがとうございます、椎奈くん」 「よかったな。本当に食ったこと無かったんだな、クレープ」 「はい!甘ぁ〜。こんなに贅沢にチョコが……!ふふ、チョコレー党の僕からしたら幸せの宝箱のような食べ物です!」 ひ○まろかよ。可愛いな。くそう。 幸せいっぱいに緩む頬、やっぱりその顔好きだな……でも少しだけ罪悪感が残る。 実は俺もここそんな来ないし、おすすめとか本当は全然知らない。 ほんとに出来心で。 「万智のチョコバナナ頬張るとこ見てぇな…」 なんて一瞬、いやずっと頭ん中で悶々してました。ごめん万智……! いやでも好きな人が祭りとかでチョコバナナ食ってるとこ見たいなって、男のロマンだろ! 男は皆そんなもんだよな。うん。 「……苺も食う?」 やっぱり罪悪感に勝てず、というかあまりに可愛い顔するから自分のクレープを傾ける。 「へっ、いいんですか?」 「あぁ…」 別に、万智の笑った顔が見たいだけで、あわよくば間接キス……とか全然これっぽっちも考えてなんかねぇ。 「い、いただきます!」 もごもごと動く頬。 ……うさぎみてぇ。 「んんっ、こっちも美味しいですね」 「だな。俺はしょっぱい系のクレープのが好きだけど」 「そうなんですか?……なるほど、今度はしょっぱい系のを頼むのもいいかもしれませんね」 ふわっと花が咲くように万智が笑う。 うわぁ眩し てか、 「……また今度一緒に来てくれんだ」 「へ?あっ、その……小賢しくなければ……」 「…ふ、俺はまた万智と来たい」 冷気で赤く染まる鼻先をマフラーに埋めながら「僕もです」とだけ返してくれた。

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