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記念日にしよう。
次の休み。
俺は貴史とジュエリーショップにやってきた。
いかにも高そうなそんな感じのところに。
「なぁ、かなり高そうだけど」
「大丈夫やで。そんな気にせんと!ほら和行くで?」
あれから。
貴史は手を繋ぎだがる。
俺も嫌じゃないからいいんだけど。
なんとなくだけど。
貴史の奴なんか企んでる。
そんな気がするんだよな。
「和はどのデザインがええか?」
「あ、これ。ムーンストーン?」
「そうですよ。先週入荷したばかりで」
「これがいい」
「それでいいん?」
「ムーンストーンは誕生石だから」
「なら、和のにはトパーズで俺のにはムーンストーンにしようか?」
「なんで?」
「俺の誕生石のを和に持ってて欲しいねん」
指輪買って家に帰ったあと。
貴史に手紙と指輪を渡された。
『和威へ
俺が馬鹿なせいで傷つけてごめんな?
なぁ、和?
俺らが初めて会うた日のこと覚えとるか?
俺らの共通の知り合いのバーで会ったやんか?
実はな俺。そん時に和に一目惚れしたんやで?
めっちゃ可愛い子おるな思うたら、警戒心剥き出しで。
それから和と遊ぶようなって。
和を知れば知るほど和にハマってしもうたんや。
それとな社長に認めてもろうたから、俺、恋人がおるんを公表しようかと思ってるんや。
社長に相談してからやけと。
ただ。
和が嫌なら公表はせんけどな。
社長に言ったら却下されそうやけど。
芸能人としてのイメージがあるからしゃあないけどな。
最後に和。
好きやで?
めっちゃ愛しとるで。
不安になっても俺の和への愛だけは、これだけは疑わんで欲しい。
これからもよろしくな?
貴史より』
・
・
・
。
「ははっなんだよ」
「俺の正直な気持ちやねん」
「和。俺とずっと一緒にいてほしい」
「俺、貴史とずっといるから」
そして。
貴史はささやきながら言ってきた。
今日は結婚記念日やって。
結婚ってまぁ、いいけど。
貴史。
俺もお前が好きだから。
俺だってお前から離れていくつもりないから覚悟しとけよ?
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