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第4話

 裂けたらどうしようかと思ったけれど、意外と何とかなったようで良かった。  でも、痛みがない訳ではない。異物感と圧迫感もあるが、本来とは逆の用途として使っているのだ、痛いに決まっている。ここは出す所であって入れる所なんかじゃない。 「ぅ、い……はぁ……だめ、まだ……動かないで……」 「あぁ……分かった」  一番挿入に負担が掛からないのはバックだ。と言われてそのままひっくり返されて今に至る。  怖かったし緊張したし、まだ信じられない気持ちもある。  でも、もう入ってしまったし……痛いけれど、終わるまで抜いてはくれないだろう。  痛みをやり過ごそうとどうでもいい事を考えようとしたが、上手くいかない。動かなければ鈍い痛みは我慢する事も出来そうだが、いつまでもこうしている訳にはいかないだろう。 「……優志」  背中に樹が覆い被さるさる。腰を掴んでいた手は、脇腹から痛みの為に萎えてしまった優志の中心に伸びた。  弄られていた時には元気だったそこを樹の手の平が握り込む。最初にしたように丁寧に竿を扱き、裏筋から先端へと指を這わす。 「……ぁ、はぁ……」  少しずつだがそこは復活してきた。樹が時間を掛けて手淫を施してくれる。 「優志」  何度も何度も名前を呼ばれる、それは優しく優志の胸の中に落ちた。  耳元に寄せた唇は耳朶を甘く噛み、首筋を舐め白い肩に吸い付く。片手ではペニスを弄ったまま、もう片方の手は薄い腹を撫で上へと滑る。 「あ、んん……いつ、きさん……!」  乳首をきゅうっと摘まれ、押し潰される度に、指先が虐めるようにペニスの先端を弄る度に、樹を咥えこんでいる粘膜がいやらしく蠢く。  甘い喘ぎを零しながら、嫌々をするように頭を振る優志を見下ろしていた樹がゆっくりと動きを開始した。 「……少しずつな……痛むようなら言えよ」  ペニスを扱きながら、慣らすように浅く抜き差しを繰り返す。焦れる程にゆっくりと。 「あ、ん……はぁ……ぁあ……ぅあ、んん……」 「……優志、痛くないか?」 「ん……」  痛くないと言ったら嘘になる。だけど、痛みだけかというとそうではない。  弄られているペニスの快楽が勝るのか、体が異物になれてきたのか挿入時のような切り裂かれるような痛みはもうない。 「……だいじょぶ、みたい……」 「そうか……」 「んぁ……はぁ、はぁ……ふぅ、う……」  浅い所を行き来していたものが、深い所を探るように押し入れられ、更にそれが抜ける手前まで引き戻され、今度は最奥まで一気に押し進められる。樹の動きが徐々に大胆になっていく。緩急を付けながら抜き差しが繰り返され、優志の体はいつしかその振動と共に腰も揺れていた。 「あ、あん、あ……は、あ!も、樹……さぁん…んぁあ…!!」  さっき見つけた箇所に先端を擦りつけるようにして腰を遣うと、優志の体はそこが正しいと言うように締め付けをきつくする。 「……すごいな……優志、喰い千切られそうだよ……」  両手で腰を掴み、優志の一番感じるポイントを集中して責め立てる。  酒の入った体は全身桜色に染まり、しっとりと汗で濡れている。腰を掴んでいる手も汗をかき、滑りそうになるが放さないようしっかりと優志の腰を掴みリズムカルに己を打ち付ける。 「優志……体勢、変えるぞ」 「え……?」  浅く引き抜きバックから正常位へと優志の体を入れ替える。足を掴まれ入れられたままに体をひっくり返され、抵抗する間もなくまたピストンが始まる。 「あぁぁ!!ん、はぁ……いつ、きさん……!」  一段と嬌声が高まる。淫らに乱れる優志の顔は平素のクールさもなく、ただ愉悦にのみ彩られていた。  溢れ出す涙は止める術がないのか、優志の頬を濡らし続けている。  樹は上体を屈め、その濡れた頬に口付ける。それでも涙が止まる事はなかったが、優志の口元に薄く笑顔が浮かぶ。 「樹、さん……はぁ、あ……んん……」  手を伸ばした優志の動きを察し、樹はその腕を自分の肩に回させた。ぎゅっと樹の肩に抱きつくと、優志は一度大きく息を吐き出した。  まるで深呼吸しているみたいだった。 「……優志」 「樹さん……はぁ……どうしよう……」 「ん?」 「どうしよう……すごく……気持ちいい……どうしよう……」 「……優志」 「……オレ、樹さんが……好きだ……どうしよう……」  顔を覗き込もうとするが、肩に掴まれているので優志の表情が分からない。だが、声は困惑しているように震えている。 「好き…樹さん……」  だが、はっきりとそう言った優志は腕をゆっくりと外し樹の顔を正面から見つめた。涙を浮かべ、真っ直ぐに見つめてくるのは酔いに濁った瞳ではなく澄んだ真摯なものだった。 「優志……」 「……樹さん……」  どちらからともなく唇を寄せ合った。深い口付けの最中、またピストン運動は再開する。  樹の手が優志の中心に伸び、搾り出すようにそこが扱かれる。  ただただ、なすがままに優志は流された。最奥を穿たれ、ペニスを扱かれて。 「あ、あぁぁ……も、いっちゃうぅ……樹さ、ん……!!」 「オレ、も……優志……」  樹の手の中で優志の欲望が勢い良く爆ぜる。放出の余韻の中、自身の最奥で樹が果てるのを感じた。  薄い膜越しに熱い飛沫が飛ぶ、その感覚を最後に優志は意識を手放した。

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