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第1話

『わびぬれば 今はた同じ 難破なる 身をつくしても 逢はむとぞ思ふ 元良新王』  国語の授業でふと、気になった百人一首の一つだ。 『もうどうしていいか分からない。でもこの身を滅ぼしても、逢いに行こうと思っているよ』という意味だと知り、高校生の頃の俺は胸を熱くしたのを覚えている。  こんな熱烈に愛される恋がしたい……と。  もう……一生、無理な話だけど。同性しか愛せないって気づいてからは、もう……熱愛とか燃えるような恋とか……無理だろ。  スマホを握りしめ、俺は長年抱いてきた淡い恋心に終止符を打った。 「次はノンケじゃなくて、同じ庭の男と付き合おう」

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