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君がため 第3話
「あの、私。去年の球技大会で磐木君の事、初めて見かけて……。それから君の事、すごく気になって。廊下ですれ違う時とかも、いつも見てて……」
俺の胸元辺りに視線を据えて一気にしゃべる女に、俺は球技大会で何か目立つような事したかな? と考えていた。
確かバスケだったよな? 別に凄いシュート決めた憶えもないし、っていうか、ほとんど弘人とふざけ合ってた記憶しか……。
そもそも球技大会から何ヶ月経ってんだよ。その間ずっと、廊下でも何回もすれ違ってんのに声もかけず、ずっと見てたっていうのか?
で? 今頃告白してきてどーしようってんだ? 今までは声もかけられなかったけど、これからは俺と楽しくおしゃべりする自信があるとか?
――ありえねぇ。
てか、今までなんの面識もなかった相手から告白されて、俺がオッケー出すとでも?
意味がわかんねぇ。そんな事するなら、もっと早くから告白して、自分をアピールしろと言いたい。廊下ですれ違う時だって、少しは視界にも入ってくるだろうに……。
いや。入ってこないか。
どういうワケか、今までの女達もみんなそうだった。
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