13 / 52
君がため 第7話
声は、まだ上から降りそそいでいる。
――結構しつこい。
「だからー。どー考えてみても楽しくなさそうだったから、『お断り』したの」
そうだな、そんな感じだ。
たった今思いついた考えに、自分で納得する。
「お前、想像だけで振ったってコト? 今までのも全部?」
バタバタと派手な足音が聞こえて、肘を掴まれる。反射的に顔を向けると、すぐ近くで、弘人が俺を見上げていた。
「そう。休み時間にこいつと話してみて楽しいかなぁとか。一緒に帰って楽しいかなぁとか、今までのもそんな感じ」
弘人の瞳を見つめながら、口が勝手にしゃべる。多分それは、真実だから。
俺の基準はきっと、楽しいか、楽しくないか、それだけだから。
だから……。
「いや。意味わかんねぇって。てか、もったいねぇーッ!」
叫ぶ弘人に「そうか?」と首を傾げる。
本当にわからないのか?
「そりゃそーだろー! 今の先輩もそうだったけど、結構かわいい娘何人かいたじゃん。話してみたら、面白い娘だって何人かいたかもよ?」
「大爆笑する程?」
「いや、そんなん望んでねぇー。てか、望むなよ!」
ともだちにシェアしよう!