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しづこころなく 第2話

「いや」  出るのは問題ないが、何があったのかぐらいは教えてほしかった。 「出るのはいいけど、理由は聞かせろ」 『来れば解るって。俺ん家の近くの公園、判るか?』 「ああ、酒屋の前の?」 『そうそう。そこで待ってっから』  すぐにでも切られそうな雰囲気に、慌てて言葉を挟む。 「おい、待て」 『何?』 「俺、今風呂から出てきたとこだから、ちょっとかかるぜ」 『構わないよ、俺もまだ家だし。待ってるからさ』  なんだか上機嫌な弘人が答える。 『じゃな』 「ああ」  意味解んねぇ、と思いながら台所へと向かう。 「母さん、弘人から電話があった。ちょっと出てくる」  シンクで何やら片付けをしていた母親が、俺の言葉に反応して振り向く。 「弘人君から?」  心なしか、表情が明るくなる。 「晩御飯は食べたのかしら?」 「知らねぇよ」  背を向けて洗面所へ向かおうとすると、慌てて声をかけてくる。 「弘人君のお宅へ行くの? こんな時間にご迷惑じゃない?」 「あいつの方から呼び出してきたんだよ。それにあいつん家じゃなく、会うのは公園」

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