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「ひっ、……あぐぅっ!」  そんな叶多の状態になど、構う事無く無理矢理身体を引き起こされ……悲鳴に近い喘ぎが上がるが、腰が抜けてしまっているから逃げ出す事も叶わない。 「ゔっ……やぁっ……」  尻が直接タイルに当たり、更に異物が奥深くまでめり込んで来る感覚に……絶望的な気持ちになるが、今はそれより激しい痛みを堪えるだけで精いっぱいの状況だ。 「痛いか?」 「……あぅっ!」  腹を爪先で軽くつつかれ、叶多は何度も頷き返す。  ―― 痛…い、もう……止めて……。  あまりにあまりな出来事に……何故ここまで酷い仕打ちを受けなければならないのかと自問する声すら消え、叶多はこの時、支配者である須賀の許しを願うばかりの存在に成り下がった。 「じゃあ、どうしたいか言ってみろ」 「いっ……やっ、ああっ」  意地悪な命令と共にギュッと下腹を強く押されて、せり上がってくる感覚に……叶多は瞳を大きく見開く。 「ほら」  更には……萎えて縮まったペニスを爪先で踏み付けられ、細い身体がビクリと跳ねて弓のようにのけ反った。 「あ、あっ……」  ガチガチと歯が音を立て、まるで痙攣を起したように身体が小さく震え出し……自分自身では支え切れなくて背後に倒れ込んだ刹那。 「……仕方無いな」 呟く須賀の声と共に、肩を片手で支えられ……タイルに頭をぶつけるのだけは、おかげで何とか避けられた。 「い……あぅっ」 「もう限界か?」  嘲るような声が聞こえるが、限界なんてとっくの昔に超えている。視界一杯に映った顔を見詰める事も怖くて出来ず、頷きを返す事でしかもう返事が出来なくなっていた。 「そうか」  抑揚の無い冷たい声音が叶多の鼓膜に響いた途端、須賀の腕が膝裏に掛かって華奢な身体がフワリと浮く。 「あっ……や、やぁっ」 「動くな」  まるで荷物か何かのように須賀に体を抱えられ、バスルームを出た所までは何とか意識を保っていた。だけど、それ以降の叶多の記憶はかなり曖昧になってしまい――。

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