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 ―― 考え過ぎだったのかも。  初めから……瞬以外に話せる友人なんていないし、彼と話せなくなってからは、いつも一人で俯いていた。だから、今の状況は休む前と何ら変わるところが無い。 「風邪、治ったんだ」  そんな事を考えながら窓の外を眺めていると、頭上から声が降りてきたから叶多はピクリと体を揺らした。 「びっくりさせちゃった? 驚かせてごめん。もう体は大丈夫?」 「あっ……」  久し振りに見た瞬の笑顔に、叶多は瞳を大きく見開く。  少し首を傾げながら、返事を待つ彼の姿にジワリと胸が温かくなって、目の奥の方がツンと痛んだ。 「……」  心配そうにこちらを見詰める瞬に返事をしようとするが、彼と話をする事は、須賀によって禁じられている。  自分はどうなってもいいが、瞬にまで罰を受けさせるなんて出来やしないと思った叶多は、何も言えずに俯いた。 「大丈夫だよ、会長には話を通してあるから……必要最低限って言われてるけどね。これ、休んでた間のノート、分からないところは聞いて」 「あ、うん。ありがとう」  ノートを受け取り礼を告げると、瞬が笑みを深くする。  須賀に了承を貰ったなんて、嘘みたいな話だけれど、信じてしまって良いのだろうか?  信じたいと思うけれど、これは何かの罠では無いかと疑心暗鬼になってしまう。 「じゃあ、行くね」  叶多の怯えを見抜いたように瞬は明るくそう告げると、肩をポンと軽く叩いて自分の席へと戻ってしまった。ほんの数週間の間に、出来てしまった距離が寂しい。  ―― これから、どうすればいいんだろう。ずっとこのまま我慢してればいつかは終る? そうしたら、元に戻れるのかな。  そんな事を考えながら借りたノートを数枚捲ると、小さく折られた紙が間に挟んであるのに気がついた。

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