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「ふっ……ん、うぅっ」  無理矢理口を割り開かれ、歯列をザラリと舐め回されて、まるで息までを吸い取るような乱暴な彼の舌の動きに、呼吸をするのも困難になった叶多の顔が赤くなる。  ―― 苦しいっ……やめて!  無意識のうちに手が動き、突き放そうと彼の胸板を力を込めて何度も押すが、全く相手にされなかった。 「ん、んっ……ふぅっ」 「その顔で、佐野も手懐けたのか?」  口を僅かに離した須賀が、吐き捨てるように言い放つ。  酸欠になった叶多は肩で浅い呼吸を繰り返しながら、それでも小さく首を振って違うと彼に主張した。  ―― そんな……ど…して? 『その顔で』と須賀は言ったが、叶多には意味が分からない。佐野を勝手にガードしたのも目の前にいる須賀自身だ。 「んぅ、ふぐぅっ」  また唇を塞がれる。同時に部屋着のズボンを掴まれ、叶多は恐怖にガタガタ震えた。  ―― 嫌だ……怖いっ。  以前抱かれた時の事を……思い出すだけで吐き気を催し、ここから逃げてしまいたくなるが、状況がそれを許さない。 「んぅっ……うぅっ」  舌を器用に絡め取られて先端に軽く歯を立てられ……苦痛でしかない行為なのに、そこから広がる未知の感覚に叶多は酷く混乱した。  ―― なん……で?  優しいという表現からは、駆け離れている行為なのに、どういう訳か身体の芯がズクリと疼いて熱を帯びる。 「んっ……ぐぅっ」  唾液がタラリと顎を伝う。  酸欠から来る苦しみを……脳が勝手に快楽へとすり替えようとしているのだが、そんな事は分からないから、無意識の内、叶多はそれに抗うように、須賀の肩をギュッと押した。

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