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「それとも、このままがいい?」
「うぐっ……うっ、ううっ!」
愉しそうに唯人が発したかなり物騒な言葉と同時に、奥に押し込められたローターが二つ同時に振動を強め、叶多はシーツを引っかきながら、もう何度目かも分からなくなった絶頂を迎え脱力する。
「またイっちゃった? ああ……もう限界みたいだね」
―― イヤ……だ。
「何? まだ注射が怖いの? 大丈夫だよ」
―― それは、ヤ…ダ……。
薄く開いた視界の中……唯人が度々ここに連れてくる医師だと紹介された男が、いつの間にか側まで来ていて、無表情にケースの中から見慣れた器具を取りだした。
「んんっ……ぅっ」
「ほら、動いちゃダメ。叶多、俺の言う事、聞けるだろう?」
「んぐっ……うぅ……ん」
唯人に身体を引き起こされ、背中を預ける体勢にされた所でそっと耳打ちをされ、耳朶を甘く噛まれれば……。
「いい子だ」
条件反射のように叶多の身体はピタリと動きを止め、体内で動くローターの音がやけに大きく部屋に響いた。
「うっ……ふぅ……ん」
「ほら、力抜いて」
背後から回された腕が膝の下へと入り込み、閉じられないよう限界まで大きく割り開かれた所に、医師が注射器を持って近付き、内腿の際どい場所へと細い針をツプリと刺す。
「ぐぅっ……んっ!」
「ありがとう、もう帰っていいよ」
「はふっ……あっ…あぁ!」
一瞬の痛みのあとで口枷が取り払われ、同時に乳首を緩く揉まれて、新たに生まれた快感の波に目の前が真っ赤に染まる。
「また勃った。叶多はホント淫乱だね」
「ああっ、あっ……あぁっ!」
「いいよ。好きなだけ擦って」
たまらずペニスにのびた掌で自慰を始めた叶多のアナルに、ゆっくり指を挿入しながら唯人が甘く優しく囁く。
「気持ちいい?」
「……いぃっ、そこ…もっと……」
甘えたような濡れた声音と、虚ろに揺れる大きな瞳。
何かを考えようとする度にこうして快楽へと落とされ……体は勿論、精神的にも限界がきてしまっていた。
否、既に限界は超えていたのかも知れないが、それを確認出来る人間がこの空間には存在しない。
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