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「もう……大丈夫だから……」  きっと、端から見れば酷い惨状なのだろう。  どうらや自分は吐いたようだし、ポタポタと肩を濡らす雫は、たぶん、彼の――。 「あ……あぁっ」  叶多の思考を遮るように、切っ先までを挿入していた悠哉が腰を進め始め、徐々に中へと分け入ってくる熱くて大きな塊に……ようやく一つになれたのだと、心の底から歓喜した。    『どんなカナも……愛してる』  先ほど彼が囁いた言葉が頭の中で木霊する。   「僕も……どんな悠哉くんも……あ、あうぅっ!」    「愛してる」と続く筈だった声は喘ぎに変わるけれど、この想いが伝わるようにと必死に伸ばした細い指先で、縋るように悠哉の背中を叶多はギュッと抱きしめた。     *** 「寝た……か」  行為がすべて終わった時、散々ドライで達かせた挙げ句、最後にようやく吐精を許した叶多は体を痙攣をさせ、意識さえ覚束なくなっていた。  意地悪なことをしてしまったのは、体力的な消耗などを考慮しての事だったが、少しの我慢を強いたほうが、感度が上がることもまた事実で――。  ――だが、途中から自制が利かなくなった。    それについては申し開きの余地が無い。完全に自分が悪いと悠哉は内心猛省した。  それなのに、薄く瞼を開いた叶多は悠哉の手を握りしめ、 「ありがとう。嬉しかった」 と涙を流して告げてくるから、胸の中が愛しい気持ちで溢れかえりそうになった。  それから……シャワーで体を丁寧に洗い、一旦ソファーへ寝かせたあと、汚れたシーツを交換してからリビングへと戻った時には、既に叶多の意識はなく、穏やかな寝息をたていて。  ――うなされてはいないようだ。    隣で眠る叶多の頬を慈しむように撫でたあと、その唇へとキスを落とすと、意識はまるで無いはずなのに、その表情が僅かながら綻んだように見えてくる。 「愛してる」  耳元へ低く囁きながら、悠哉は叶多を起こさぬよう、そっと優しく、包み込むように華奢な体を抱きしめた。 end

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