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「ふ……くぅ、ゆ…やくん……」
そこから生まれた過ぎた快感に、たまらず悠哉の頭を掴むが、力は全く入らない。そればかりか、腰が上下へと揺れてしまい、悠哉の口で自慰をしているような形になってしまった。
「や、あ……あぁっ」
熱は高まる一方なのに、放出される兆しがない。
実は叶多が見えないだけで、ペニスの根本を悠哉がしっかり握りしめているからなのだが、そんなことには気づけないから、嬌声を上げ、叶多は何度もドライで絶頂を極め続けた。
それから……どれくらい時が経っただろう?
「く……うぅ」
ふいに、指がズルリと引き抜かれ、食むものを無くしたアナルの中へと外気が流れ込んでくる。
続いて、ピトリとそこへ触れた切っ先が、分け入るように侵入してきて……一瞬にしてそれが何かを叶多の体は感じ取った。
「や、や……やぁっ!」
途端に視界が真っ白になり、体がガタガタと震え出す。
『もうこんなにして……叶多の体は素直だな。嫌がるふりをしてみても無駄だ』
――ちがう、ちがうっ!
『スキモノだな。男なら誰でもいいのか?』
――ちがう……そうじゃない! 僕は……僕が好きなのは……。
「……カナ、俺を……俺を見ろ!」
「っ!」
映し出された過去の映像に呼吸をするのが困難になり、堪えきれないくらいに激しい嘔吐感に見舞われた刹那、胃液の臭いが鼻を突くのと同時に頬が熱を持った。
「あ……あぁ」
「カナ、俺が誰か分かるか?」
「……ゆ…やくん」
「そうだ。カナは俺だけ見てればいい。どんなカナも……愛してるから」
「……僕も……」
自分も同じ気持ちなのだと伝えようとして口を開くが、途中で体を抱きしめられ、震えているのが自分だけでは無かったことを叶多は知る。
「カナ、名前……呼んで」
どこか不安げな響きを纏う低いけれども優しい声に、今、自分が置かれた状況がようやくはっきり見えてきた。
「……悠哉…くん」
名前を呼べば、抱きしめてくる力が更に強くなる。
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