「なら、もう少し時間を置いて……」 「……でも、迷惑かもしれないけど……僕は、僕の気持ちは……悠哉くんに、抱いて…欲しい。だから、お願いだから……何があっても……やめないで」 　朱く染まった目尻から、涙がぽろぽろと溢れだす。 　そこまでの意志を持っていたとは考えてもいなかった。 「悠哉くんと……繋がりたい」 「俺もだ。カナ……愛してる」 　悠哉の言葉に応えるように、包み込んだ掌を……叶多がギュッと握り返す。 　きっと、これまでずっと不安な思いをさせていた。 　叶多の気質を考えれば、『抱いてほしい』と言葉にするのはかなり勇気がいた筈だ。 　そんな心の声に気づかず、“物分かりのいい恋人”に固執し過ぎてしまった自分を、悠哉は無性に殴りたくなった。 「大丈夫、絶対止めたりしない」 　担ぎ上げていた脚を降ろし、多い被さってキスをする。止まらぬ涙を舌で舐め、「甘いな」と囁きかければ、驚いたようにこちらを見上げた叶多がふわりと微笑んだ。 　＊＊＊ 「あっ……あ、んくぅっ」 　 　鎖骨の辺りへ歯を立てられて、痛みに体が大きく仰け反る。彼から与えられる刺激ならばどんなものでも嬉しいから、歯を食いしばって堪えていると、今度はそこへと舌を這わされ、疼きが背筋を這い上がった。 　 「く……うぅ……ん」 　それと同時に、指で馴らされたアナルをグチュグチュ掻き回され、内側からも叶多の鼓膜は卑猥な音に犯される。 　自分の体がどこにあるのかも分からなくなってしまうくらい、過剰な愉悦を注ぎ込まれて、息のしかたを忘れそうだった。 「いく、も……いく」 「好きなだけイっていい」 「ふっ……ああっ」 　胸の尖りをチュッと吸われ、同時にアナルに入れられた指に愉悦のツボを押されれば……あっけないほど簡単に登り詰めたような感覚に陥る。 　だが、どういう訳か射精感はいつまでたっても訪れず、叶多は細い腰をよじり、 「どうして？」 と、掠れたか細い声で喘ぎ、頭を振った。 「あ……うぅ……ん」 　しかし、問いに答える声はなく、アナルの指を増やした悠哉は、勃ち上がっている叶多のペニスをパクリと口へと含んでしまう。