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共に作り上げていく。生徒会長の言葉が妙に残る。協力し理解し尊重し合ってこその共同生活。当たり前のことだけれど、別々の人間だから簡単にはいかない。時にはぶつかることもある。と、そこまで考えて思い出す。
……初日に物理的にぶつかったんだった。
「なあ!」
明後日の方向に思考が飛んでしまいそうな時、突然右腕を掴まれた。式が何事もなく終了し、教室で席に着いて気の抜けたところだった。
「なに?えっと」
「あ、オレ桐嶋(きりしま)!よろしく!」
「堰です、よろしく」
桐嶋は隣の席のクラスメイトだ。彼の声は騒つく室内でよく通った。
「なあお前なんで顎にマスクしてんの?花粉症だけど眼鏡が曇るからとか?」
「あっうん、なんかそんな感じ。あと予防かな」
驚いた。絶対突っ込まれるだろうと思ってた話題をこんなすぐ、よく通る声でクラス中に周知してくれた。桐嶋のおかげで俺は"花粉症かつ予防のためマスク着用、ただし眼鏡が曇るので基本顎に"という設定が付いた。都度説明が省けてものすごくありがたい。ありがたいけれど文章にするとすごく無理がある気がする。
なんとなくマスクを口まで引き上げた。眼鏡が曇った。
「花粉症は大変だなー」
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