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「藤寮生、待て」
「萩寮も待てして」
びたり、と3人ほど動きを止められた。残り3人も現れた寮長たちに動くのを躊躇している。まさか本当にこのタイミングで助けが来るとは。
「待たせたな、堰、宗弥」
「お隣さん良い子にしてたかい?」
乗堂寮長と、おそらく隣の萩の寮長か副寮長。
「ナイスタイミングです、寮長。そちらの先輩は……」
「萩寮の長をやっている三坂(みさか)だよ、よろしくね」
よろしくお願いしますとありがとうございます、で頭を下げる。寮長たちはさり気なく俺たちを隠すように立ってくれている。警察側への牽制と増援の阻止を狙っているのだろう。現に動けるはずの柊と梅の先輩寮生が今になっても動いていない。
「早く逃げな」
「あの」
逃げることを促されたので、捕縛者の解放のため牢屋まで付き合ってほしい、と簡潔にお願いすると三坂寮長がにんまりと笑った。
「そうこなくっちゃ。……乗堂、彼らには声をかけたんだったよね?」
「勿論だ。じき来るだろう」
何の話だろう。味方の増援だと嬉しいんだけど。
とりあえず牢屋に向かおうという話になり4人で歩き始める。前に乗堂寮長、後ろに三坂寮長、真ん中に俺と健助という布陣で守られていて誰も手を出してこないのがすごい。人を束ねる立場にいる人独特のオーラみたいなものが、もしかしたらあるのかもしれない。
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