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「え、うそ、寮長が揃ってる……!」 「まじかよ眼福」 「1年羨ましい代われ」 大げさにも感じるほどの羨望と感嘆。確かに4人の寮長はそれぞれ見目も良く風格もあるけれど、拝む勢いには少しびっくりする。中には守られる形の俺たち1年生に敵意を向ける人も居るほど。寮長たちも慣れたように手を振って応えたりしているところを見ると、これが普通なのか。 「ああもうそんな時間」 「ほら、今年の勇者御一行が来たよ」 寮長たちに向けられるそれとは別の種類の囁きが、いくつか混じっていることに気づいた。表現的に繰り返されていることを思わせるようなものと、お疲れ、頑張ったな、と労いの言葉。まだ終わっていないのに。同じく違和感を覚えたのだろう、葉桜と目が合い、頷き合う。 終盤で生き残りが味方を引き連れて解放するこの行為、恐らくこれは慣例なんだ。前もって寮長同士で連絡を取り合っていたのはそういうことか。一旦逃げを勧められたのは試されていたのかも。そこで応じるようでは勇者に相応しくないと。 「勇者ですって、うふふ、なんだか楽しいですね」 葉桜が弾んだ声で囁いた。走っているから弾んでいるというのもあるけれど、再会してからずっと楽しそうにしていて微笑ましい。終わり良ければすべて良し、かな。 「ではみんな、用意は良いか?」 牢屋の手前で乗堂寮長が確認を取る。全員が頷いたのを見て、手を振りかざし「かかれ」の合図をした。示し合わせたわけでもなく前後の扉を別れて突入する。 「勇者御一行のお通りだ」

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