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「そういうことで、キャンプ中ずっと一緒だからよろしく」 よろしくされてしまった。下手に頷きもできなくて黙っていると手を取られ、強引に握手。これで彼の中で受け入れたことになったのか、そこから更にフレンドリーになる蕗口。 なんで志常に入ったのかから始まり、家族構成、誕生日、血液型、趣味、得意なスポーツ……ものすごいスピードで聞き出されていく。まずは必ず自分から同じ内容を話すのではぐらかしにくく、本当に世間話のようだったのでほとんど正直に話した。自然と蕗口のことも知ってしまった。 「なんとなーく分かってきたね、お互い」 「そうだね」 でもそれは表面だけのものだ。一番肝心の、志常を選んだ理由が正にそう。寮に入りたかったとしか伝えていない。蕗口も恐らく当たり障りのないことしか言っていない。それなのに、不思議と隠し事など何もないように感じる。そういう風にさせられるというか。話し方とか見ていてもコミュニケーション能力が高いんだろうな。 「うーん……」 ふと退屈そうな空気が漂って体がこわばった。少し話せば俺がつまらない奴だなんてことはすぐ分かってしまう。 「なぁそれ、やっぱり外せないの?」 「それ……?」 なんのことか分からず隣を見ると、俺が無意識で押さえていたマスクを指差している。首を横に振るとその指が伸びてきて、俺の手からはみ出したマスクの上部にかかりなぞった。左から右へ、右から左へ、1往復し手が退かないと分かると今度は鼻の上をたどり、眼鏡のブリッジ、鼻に当たる部分をゆっくりと押し上げ始める。

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