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近づいて見ると、吊り橋は大きい丸太が一本だけのシンプルなもの。遊び方として最初にあった平均台に似てはいるけれど、両端と途中の何箇所かを吊られているのみで固定はされていないためかなり揺れると思う。一応掴まるための縄も吊られてはいる。
「揺れそう。蕗口先行っても良かったのに」
「一気に行った方が面白そうじゃん?」
安全性的に大丈夫なのかと看板を確認すると、定員は5名となっている。丈夫だ。
「揺れるの怖いなら俺に掴まってても良いよ」
「縄があるから」
かえって危なそうだし。電車のつり革のように等間隔でぶら下がった縄を引っ張ってみる。強度は問題なさそうだけど力が一方向にしかいかなそう。
「うわ、結構滑るぞこれ」
踏み出した蕗口がそう言って慌てて1つ先の縄を掴んだ。丸太の歩く部分さえ平らに加工されていない丸のままで、割と新しいのか摩擦や重みによる凹みもあまりない。カニ歩きが無難かな。丸太に対して横向きに、右足を右に動かしたら左足も右方向へ着いて行く。
「あー、格好は悪いけど安定するわこれ」
「だね」
同じくカニ歩きな蕗口が呟いた。健助は足を逆ハの字にして、土踏まずでバランスを取っているらしい。
「よ、っと。侑哉ほら、手」
文字通りひと足先に渡りきり差し出された蕗口の手を、取ろうと片手を伸ばした瞬間に、がきん、と金属が擦れる音と足が滑る感触に襲われた。
「あ」
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